「心理的安全性」は自ら高める “あの人”が周囲と軋轢ばかり抱える理由(1/3 ページ)
心理的安全性を整えるは組織側の問題だと考えるビジネスパーソンもいるのではないか。個々人があるスキルを磨くことで組織の心理的安全性の向上に貢献し、自身のキャリアアップにも役立つ。どのようなスキルなのか。
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ビジネスの世界において「心理的安全性」という言葉が注目されています。組織において、個人が不安や恐れを感じることなく自身の考えを表現できる状態を指し、耳にしたことがあるビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。
米Googleなどによる科学的な研究結果として、心理的安全性が高いチームでは、チームの収益性が高まることが分かっています。また、メンバーが安心して働くことができるため、コミュニケーションが活性化し、メンバー同士の信頼関係が深まるほか、「よい仲間と働いている」という安心感や充実感を得られます。このように、チームの状態やパフォーマンスを高めていくための最も重要な土台が心理的安全性です。
一方で、こうした心理的安全性を整えるのは、もっぱら企業、組織側の役割だと考えている方はいませんか。決してそういうわけではありません。組織の心理的安全性は個々人がスキルを磨くことで高まり、それは自身のキャリア向上にも役立ちます。一体どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。
著者プロフィール:塩見康史(しおみ・やすし)
株式会社スコラ・コンサルト プロセスデザイナー。
クラシック音楽の作曲家として長年活動してきたユニークなバックボーンを持つ。
自身の芸術創造の経験をビジネスに応用し、一人一人が“らしさ”を解放し、また多様な個性が織りなす、ゆらぎや葛藤を新価値創造の源泉として生かしていくような、ダイナミックな社会と組織をつくる支援をライフワークとしている。
前職では、大手小売業の人事部門で教育体系の構築や採用戦略策定、人事制度策定に携わり、自ら変革当事者として積極的に取り組んだ経験を持つ。
スコラ・コンサルトに加わってからは、人事課題をはじめ、ミッション・ビジョン・バリュ−策定、戦略ビジョンなど、経営課題の全般にわたる知識体系を生かし、本質的な経営課題をあぶりだすアプローチを得意とする。「人間とは何か」という問いに昔から心引かれており、心理学や仏教をはじめ、哲学、東洋思想にも造詣が深い。
共著に『わたしからはじまる心理的安全性』(翔泳社)。
心理的安全性のキーポイント
心理的安全性が高いチームとは「メンバーが、お互いに何でも率直に言い合え、安心して前向きに挑戦できるチーム」です。心理的安全性を広く世に知らしめたGoogleのレポートでは、もう少し学術的な言い方で「チームメンバーがリスクを取ることを安全だと感じ、お互いに対して弱い部分もさらけ出すことができる」と表現しています。
この“リスク”という単語がキーワードです。「私がここで意見を言うと、でしゃばっていると思われるのでは」「こんな意見を言ったら、周りからバカにされるかも」「助けがほしいけれど、仕事ができない人と思われるのではないか」なんて、思ったことはありませんか。心理的安全性が高いチームでは、このようなリスクに対する恐れを感じずに、何でも率直に言え、伸び伸びと行動できるのです。
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