「心理的安全性」は自ら高める “あの人”が周囲と軋轢ばかり抱える理由(3/3 ページ)
心理的安全性を整えるは組織側の問題だと考えるビジネスパーソンもいるのではないか。個々人があるスキルを磨くことで組織の心理的安全性の向上に貢献し、自身のキャリアアップにも役立つ。どのようなスキルなのか。
なぜあの人は周囲と軋轢ばかり抱えているのか
では、心理的安全性を高めるスキルとは、一体どのようなものなのでしょうか。
それは、最近注目されている「ソフトスキル」に近いものだと言えそうです。ソフトスキルとは、曖昧(あいまい)で見えにくく、測定することが難しいスキルのことを指します。コミュニケーション能力やリーダーシップ、EQ(感情のマネジメント)などがこれに当たります。
対して、語学、プログラミング、エンジニアリングなどの習得するべき項目が明確で、習得レベルが測定できるものをハードスキルと言います。ソフトスキルとハードスキルは全く異なるものです。
昨今ソフトスキルが注目されているのは、ソフトスキルの土台がないと、ハードスキルが機能しないことが分かってきたからです。
例えば、同じような語学力を持っていても、1人は周囲と軋轢(あつれき)ばかり、仕事の成果もさっぱりであるのに対して、もう1人は、うまくチームの一員としてなじんでいて、自身の仕事の成果も高いばかりか、周囲のパフォーマンスを高めることにも貢献しているというような事例はよく見かけると思います。
その違いは、英語試験のTOEICで測れるような語学力そのものではなく、コミュニケーション能力のような見えにくいソフトスキルにあるのです。
心理的安全性を高めるスキルは、仕事と人生の成功を支えるポータブルスキルと言えます。今の会社で長く働く場合でも、違う場所で働くことになった時も、自身が思い描くキャリアの実現を力強く支えてくれるはずです。
本稿では、心理的安全性を自ら高めていくためにソフトスキルを磨くことが重要だと解説してきました。次回以降、心理的安全性を高めるためのミーティングの実施方法や、上司が心得ておくべきポイント――など、具体的なビジネスシーンを交えて紹介していきます。
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