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窮地の日産、ホンダとの協議開始は「最後の審判」か 統合に至るまでに乗り越えるべき課題(4/4 ページ)

年末、日産とホンダが経営統合に向けた協議を開始したというニュースが衝撃を呼んだが、果たしてうまくいくのか。まだまだハードルはありそうで……。

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「銀行再編」もリーダーシップで成否が分かれた

 例えば、三菱UFJ銀行であれば三菱が、三井住友であれば住友が、圧倒的なリーダーシップを発揮して新組織を自社の文化で染め抜いたことが、その後の発展につながったといえます。対して、第一勧業・富士・日本興業の3行合併でスタートしたみずほは、確固たるリーダー不在のまま旧3行間での遠慮や忖度(そんたく)が過ぎたことで、システム統合の大失態をはじめ、先の2行に水を空けられて「万年3位」が定位置となってしまったのです。ホンダ・日産に加え、三菱自動車が今回の経営統合に加わった場合(同社の参画方式については現時点で流動的との報道あり)、みずほと同じ轍を踏むことがないよう、ホンダの強いリーダーシップ発揮が求められるところです。

 会見でホンダと日産は、6月末までに最終合意を得たいとしました。当面の注目点は、それまでに日産が「大リストラ」および、内田誠社長が「ターンアラウンド」と表する事業再構築に向けた具体的な絵が描けるか否か、そこに尽きるでしょう。

 リストラに関して、内田社長は「年間350万台レベルでしっかり利益が出る会社に再生する」としているものの、年間生産能力が500万台で稼働率の悪い生産拠点のうち、どこを閉鎖して人員削減策を進めるかの具体策は全く見えていません。

 常務以上の執行役員だけで40人もいる管理体制も、大きな問題です。11月のリストラ宣言が出された後の役員人事が、大方の予想を裏切って小幅な異動にとどまったことには、経営陣の危機感の薄さがにじみ出ています。構造改革を含み、経営再建を確実に実行できる少数精鋭の役員体制の構築が、最低限求められるところです。これらを速やかに実行した上で、業績の安定化を担保する事業再構築を軌道に乗せることが求められているわけで、統合合意に向けたハードルは決して低くないのです。

 リストラと事業再構築が、もしホンダの納得するレベルに達しないならば、統合は白紙撤回され、日産はいよいよ窮地に追い込まれます。そうなれば大株主のルノーからも見放される恐れがあり、虎視眈々と待ち受ける鴻海をはじめとした外資の手に落ち、解体・消滅さえも現実味を帯びてくるかもしれません。ホンダと日産による経営統合協議開始のニュースは、産業界屈指の大ニュースであると同時に、日産にとっては企業存続をかけた正念場の火ぶたが切られたという重大ニュースでもあるのです。

著者プロフィール・大関暁夫(おおぜきあけお)

株式会社スタジオ02 代表取締役

横浜銀行に入り現場および現場指導の他、新聞記者経験もある異色の銀行マンとして活躍。全銀協出向時はいわゆるMOF担として、現メガバンクトップなどと行動を共にして政官界との調整役を務めた。銀行では企画、営業企画部門を歴任し、06年支店長職をひと区切りとして円満退社した。その後は上場ベンチャー企業役員などとして活躍。現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業のアドバイザリーをする傍ら、出身の有名超進学校人脈や銀行時代の官民有力人脈を駆使した情報通企業アナリストとして、メディア執筆者やコメンテーターを務めている。


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