都市部で進む、家電量販店の「デパート化」 ヤマダ・ヨドバシ・ビックの目指す方向とは(3/4 ページ)
横ばいの家電市場を背景に、各社が進めているのが「デパート化」だ。今回ではそのうち、ヤマダ・ヨドバシ・ビックの戦略を見ていく。
規模は小さめだが、「薬局」が充実しているビック
ビックカメラは空港内店舗など小規模なものを除くと約50店舗を運営している。全国の主要駅付近に出店し、1店舗当たりの規模はヨドバシカメラよりも小さく、売り上げも2024年8月期は4503億円(単体)で、ヤマダ・ヨドバシほどではない。
店舗の構成はヨドバシカメラと似ている。非家電ではおもちゃ売場が充実しているほか、インバウンド向けのトラベル・時計コーナー、お酒売場もある。ただし店舗面積が限られているため、商品の選択肢は少ないと感じる。「本店」を名乗る池袋本店でも、PC類を道路の向かい側にある「カメラ・パソコン館」で販売するなど、複数店舗でラインアップを充足させている。
デパート化が目立つのは、2022年11月にオープンした千葉駅前店だ。池袋本店より規模が大きく、施設は9階建て。延床面積は約2万5000平方メートルだ。専門店もいくつか入居し、9階のレストランフロアには、サイゼリヤとくら寿司がある。
ビル1棟を開発することが多いヤマダデンキとビックカメラに対し、ビックカメラは商業施設や百貨店内のテナントとして出店することが多い。近年では三越日本橋本店への出店が話題となった。面積の都合上、店舗規模や品ぞろえは他の大型量販店より限られ、飲食店を併設する店舗も数少ない。
一方で駅前好立地を押さえ、家電・非家電をそろえる中規模店として十分に機能している。全国に展開する店舗の約半数に、自社運営のドラッグストア「ビックドラッグ」を併設しており、限られた面積で非家電を強化しようとする姿勢がうかがえる。
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