”幽霊”がおもてなし? ゴーストタウン再生のヒントは「心霊と一緒に暮らす」:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
地方だけでなく大都市でも人口減少が加速している日本。弱肉強食化する自治体の世界で生き残るためには――。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
「ウチの田舎がまさしくこれだよ。帰省するたびに空き家が増えているもん」――。先日、あるニュースにそんな共感の声が多く寄せられた。
「日本各地に生まれ続ける“ゴーストタウン”企業の撤退で人口激減、街が沈没 都内一等地でも起きる理由とは」(2025年1月25日 ABEMATIMES)
ご存じのように今、日本の人口は激減している。2024年の1年間だけで約90万人減った。これは和歌山県民が日本列島からごそっと消えたのと同じだ。これだけの人数が毎年消えれば、シャッター商店街と空き家があふれかえるのも当然である。
しかも、これは過疎地や地方だけの話ではない。大都市圏でも地価高騰でタワマンを購入するのはほとんど「投資目的」で、実際に生活する住民の数は減少。テナント賃料も高騰しているので飲食店や小売店が続々と逃げ出し、都心の一等地でもゴースト化が進行しているエリアもあるという。
こういうニュースを耳にすると、「にぎわいをどう取り戻すか?」「地域ブランディングでどう街を再生するか」という話になりがちだ。しかし、その裏にある「食うか食われるか」という過酷な現実はあまり注目されない。
前出のニュースでも触れているが、人口激減社会において、自治体が魅力を磨いて、移住などで新住民を増やしていくことは「他の自治体から住民を奪う」ことに他ならない。地方都市にイオンモールができれば、そこに「街のにぎわい」は創出されるが、それまであった駅前百貨店や商店街は閑古鳥が鳴いて消滅するのと構造は同じなのだ。
しかも、この”住民奪還戦”はこれからが本番だ。現在、日本人の約3分の1は高齢者となっている。この比率はどんどん増える一方で、現役世代は減っていく。これからの日本において、「元気に働いて税金を納めてくれる新住民」は限りある貴重な「資源」なのだ。
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