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転職による年収増が過去最高に 「払えない企業」との二極化進むかリクルートエージェントの調査(1/2 ページ)

転職者の給与が上がっている。賃上げなどの企業努力もあるだろうが、そのほかの要因について解説する。そして、高い給料を「払えない」企業はどうなってしまうのか。

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 労働力不足の影響により、2024年のリクルートエージェントでの転職決定数は、コロナ禍前に比べ156%と右肩上がりで増えています。

 転職後の給与についても「前職と比べて1割以上賃金が増加した転職者の割合は2023年度に35%となり、過去最高」だといいます(参照:リクルート「ミドル世代の転職動向」PDFより)


リクルートエージェントにおいて前職と比べて1割以上賃金が増加した転職者の割合(画像:リクルート「ミドル世代の転職動向」より)

 賃上げなど企業努力による底上げも効果を発揮しているのかもしれませんが、この記事では転職者の給料が上がるその他の要因について解説します。そして、賃上げできる企業とできない企業の二極化が進んでしまうのか、給与面で後れを取る企業ができる対策も考えてみましょう。


リクルートエージェントでの転職による年収増、過去最高に(画像:ゲッティイメージズより)

転職者の給与がアップした要因は

 「新卒で入社した会社は少なくても3年間は勤めろ」「20代の転職は2回まで」といった格言は、都市伝説のように消滅しつつありますが、従来は転職についてネガティブなイメージがありました。ヘッドハンティングされた場合などを除き、転職回数を重ねるほど給与がダウンするケースのほうが多かったからです。大企業から中小企業への転職は容易でも、中小企業から大企業への転職は難しかったのです。

 一般的に大企業と比べて中小企業の給与は、見劣りする傾向があります。新卒時に入社した企業よりも規模が大きく好待遇な企業に入社するのは、容易ではないので少なくとも3年間は我慢しろという考えは一理あったのかもしれません。

 ただ昨今では、状況が変わり新卒中心から中途採用に力を入れる大企業が増えてきたため、以前よりは中小企業から大企業への転職も門戸が広がりつつあります。日本経済新聞社の採用計画調査によると、2024年度の採用計画に占める中途採用比率は過去最高の43.0%と5割に迫る水準になっています。

 この結果、冒頭で紹介したように、給与がアップした人が過去最高に上ったのだと思われます。担当する仕事内容や役職が変わらなくても、一般的に大企業に勤める人には中小企業よりも高い給与が支給されます。

大企業が中途採用に力を入れ始めた

 ではなぜ大企業が中途採用に注力し始めたのでしょうか? 理由は2つあります。1つは売手市場で新卒者を確保できなくなってきたからです。2024年の春闘以降、新卒に初任給30万円以上といった高い給与を支給する企業のニュースが相次いでいます。

 しかしこうした破格とも言える好待遇を提示できるのは、大企業でも一部です。既存社員との兼ね合いにより、高い初任給を提示できない企業は、以前のように新卒者を確保できなくなります。その人数不足を補うために中途採用に力を入れるようになったのです。

 2つ目は、SNSなどの浸透により、商品のライフサイクルが短くなったことが挙げられます。以前ですと大企業が新たな事業に進出する際は、事業部を立ち上げ、自社の社員を数カ月から1年勉強させた上で業務を担当させていました。いまや商品がヒットしたとしても、長くは続きません。このような悠長なスタンスでは、商機を逃してしまうでしょう。

 新たな事業計画が決まったら、他社の経験者を採用して少しでも早く事業を展開したほうが成功する確率は高まります。そのため経験者の採用を急いでいると考えられます。

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