自分で淹れたら70円、店員が淹れたら700円 モンカフェが“変わった店”を営業しているワケ:週末に「へえ」な話(2/4 ページ)
東京・渋谷のキャットストリートに、ちょっと変わったカフェが登場した。自分がドリップすれば1杯70円、店のスタッフが注げば1杯700円。価格差10倍もあるカフェの狙いは何か。担当者に聞いた。
モンカフェの課題が見えてきた
1杯型のドリップコーヒーの飲み方といえば、キリトリ線に沿って開封し、それを左右に広げる。本体をカップのふちにかけて、お湯を注ぐだけ。スーパーなどで販売している商品の多くは、この方法で飲めるが、モンカフェは違う。フィルターの合わせ目を開き、しっかりと折り曲げる。カップのフチをはさむようにしてセットして、お湯をかけるという流れだ。
多くのメーカーがキリトリ線に沿って開封する商品を投入したことで、消費者はどのように感じているのか。片岡物産が2018年に実施した調査によると、「モンカフェを淹れるのは難しそう」という声が目立ってきた。「使い方がよく分からない」「他の商品よりも高い」この2つの理由から、「飲んだことがない」といった傾向がうかがえたのだ。
さらに、市場環境も悪化していた。特許が切れたころから、お中元・お歳暮の需要が低迷していったのだ。スーパーなどで販売している家庭用の商品は好調だったものの、ギフト用の売り上げは減少傾向にあり、回復させるのが難しい状況だった。
このままではいけない、なんとかしなければいけない、ということで、なにを始めたのか。カフェをオープンすることで、多くの人に「体験」してもらうことを考えたのだ。2019年、東京の恵比寿に期間限定でカフェをオープン。同社にとって、渋谷店は2度目のチャレンジになる。
さて、カフェを1年運営してみて、どんなことが分かってきたのか。店を始めるにあたって「どこに出店するのか」といった問題があった。ターミナル駅などにポップアップストアを出店するのもいいかもしれないし、オフィス街に店を構えるのもいいかもしれない。いろいろ議論していく中で、渋谷のキャットストリートに決めた。
人通りが多いところにポップアップストアを構えると、たくさんの人が寄ってくれるだろう。しかし、スタッフとのコミュニケーションを十分にとれるかどうかといった問題があった。初めて来店したお客には、コーヒーの淹れ方だけではなく、ブランドのことも説明する。わちゃわちゃした環境の中でそのことを説明しても、お客に伝わらないかもしれないと考え、ポップアップストアは見送った。
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