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闇バイト撲滅のために利益を捨てた? 「爆サイ」が下したびっくりの決断スピン経済の歩き方(1/6 ページ)

社会問題となっている「闇バイト」について、国内最大のネット掲示板「爆サイ.com」がユニークな対策に踏み切った。その驚きの内容とは――。

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スピン経済の歩き方:

 日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。

 本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。

 急速な人口減少でさまざまな国内市場がシュリンクしているにもかかわらず、右肩上がりで拡大しているマーケットがある。「犯罪」だ。

 警察庁がまとめた2024年の犯罪統計によれば、特殊詐欺やSNS型詐欺の被害額は1989.5億円と「過去最悪」をマーク。殺人、強盗などの「重要犯罪」も前年比18.1%増、窃盗件数も増えており、特に「金属盗」は2020年から4倍の件数に激増している。


詐欺の認知件数と被害額の推移(出典:警視庁「2024年の犯罪情勢」)

 なぜこんなにも犯罪が増えてしまったのか。「政治が悪い」「社会が悪い」という話以前に、実は「リクルートシステム」が普及したことが大きい。

 ネットやSNSで金に困った若者を手軽にスカウトして、詐欺や強盗の実行犯にする。個人情報を把握すれば「逃げたら家族を殺す」と脅し、奴隷のようにコキ使うこともできる。つまり、今の日本で「犯罪市場」が活況なのは、「闇バイト」によって新たな人材が続々と闇社会に流入してしまっているからだ。

 この動きを食い止めるため、警察が注目しているのが「求人情報サービス」だ。2024年12月、「スキマバイト」で知られる「タイミー」でも闇バイト募集が確認されたように、犯罪グループは「まともな求人」を装って募集してきた人の個人情報を奪い、逃げられないようにする手口が報告されている。


タイミーで「夜道で猫を探すバイト」という募集が掲載され、「闇バイトではないか」と波紋を呼んだ(画像はイメージ)

 もちろん、それは事業者側もよく分かっているので各社、注意喚起やチェック体制の強化を進めている。ただ、違法ビジネスを取材してきた経験から言わせていただくと、そのような対策はかなり心許ない。闇社会の人間は、「システムの穴」をつくのが仕事だからだ。

 そんなことを考えながら取材を進めていたところ、「防止効果」が期待できるユニークな闇バイト対策に踏み切った事業者を見つけた。国内最大のネット掲示板「爆サイ.com」(以下、爆サイ)である。

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