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あなたの職場にもいるかも? “ソシキノカベ虫”を駆除する方法(3/5 ページ)

「組織の壁」をつくり、人に部分最適の行動をさせる人が増えている。その結果、組織連携を阻み、組織の能力を極端に低下させ、最悪の場合、経営危機を招く……。

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[退治方法]「タテ」ではなく「ヨコ」から見て制約を探す

 ほぼすべての組織に発生する可能性があるソシキノカベ虫だが、シンプルでパワフル、しかも安全で、即効性の高い特効薬がすでに世界中で活用されている。それは仕事の流れの効率を「タテ」の組織で見るのではなく、「ヨコ」から会社全体で仕事の流れを見るというシンプルなものだ。

 当たり前のことだが、仕事には様々な組織が関わる。組織の壁にいくら阻まれようが、仕事は組織を越えて横に「つながり」がある。そして、それぞれの組織の能力が全く同じということはあり得ず「ばらつき」がある。

 下の図は仕事の「つながり」と「ばらつき」を示したもの。仕事は左から右へつながって流れているが、それぞれの組織が1日に処理できる能力には20・15・10・12・16とばらつきがある。

 このシステムの中で1日のアウトプットは、能力が最も低い、つまりボトルネックとなる組織の能力=10以上になることは不可能である。

 もし、あなたが10しか処理できない組織にいるとする。自分たちのせいで全体の仕事の流れが止まっていることがわかれば、プレッシャーも感じるし、責任感が強い人であればあるほどメンタルに支障をきたすことさえあるだろう。

 しかし、ここでもう一度、自身の仕事を振り返ってほしい。制約となっているあなたの組織は、本当に自分たちしかできない仕事だけをしているのだろうか。

 経費の精算や不要な会議への出席など、本来はあなた自身がしなくてもいい仕事も抱えているだろう。

 もし、そうした仕事を他の人が代わりにやってくれたら、あなたしかできない仕事の時間が2割増えるかもしれない。そうしたら、あなたの部署のアウトプット能力は12となり、全体のアウトプットも12に上がる。

 制約となっている組織の仕事を他部署の人が助ける、という小さな変化だが、その効果は極めて大きい。たった1つの制約を2割アップするだけで全体のアウトプットが2割アップするからだ。

 「つながり」と「ばらつき」のある仕事の流れには必ず制約がある。その制約に集中して助け合うことが全体最適になる。

 これが、世界で1000万人が読んだベストセラー『ザ・ゴール』で著者ゴールドラット博士が発表した全体最適のマネジメント理論TOC=Theory Of Constraints(制約理論)である。

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