「コメ高騰の犯人=中国人」にしたがるマスコミ 本当に“得”をするのは誰か:スピン経済の歩き方(2/8 ページ)
連日テレビでは「コメ高騰の犯人」が中国人だと報じているが、実はツッコミどころ満載のストーリーだ。なぜそう感じるかというと……。
ツッコミどころ満載のストーリー
まず、大前提として「転売目的で農家からコメを買っている中国人がいる」のは事実だ。中国人向けのSNSでは、確かにそのようなやりとりがたくさんある。
だが、中国人だろうがベトナム人だろうが、異国の地で暮らす外国人コミュニティー内で、このような動きがあること自体はさほど珍しいことではない。というより、メルカリを見ても分かるように、日本人だって転売している。良い悪いは別にして、消費社会でモノが不足すれば、転売で一儲(もう)けしようという輩が一定数あらわれるものなのだ。
ただ、だからといって、そのような人々が今回の「米騒動」を引き起こしたというのは考えにくい。農水省は「日本国内にコメは十分あるにもかかわらず、このように価格が高騰しているのは、流通経路から突如、約21万トンものコメが消えたせいだ」と主張している。
これだけの数を転売するのは、現実問題としてかなり難しい。例えば、『Live News イット!』(フジテレビ系)で直撃した中国人女性は農家から米300キロを購入して自宅に保管していたが、もしこのような中国人転売ヤーが仮に日本国内に10万人いたとしても3万トンにしかならない。
「いやいや、もっと大量に買い占めている中国人グループが存在しているはず」と思う人もいるだろうが、日本では年間20トン以上のコメを出荷したり、販売したりする場合は届出義務があるので、組織的な大量買い占めは把握できる。農家が届け出をせず、闇マーケットに流す可能性もゼロではないが、バレたら50万円以下の罰金も課せられるし、そんな危ない橋を渡るメリットもない。
つまり、「コメ高騰は中国人転売ヤーのせい」というのは、ツッコミどころ満載のかなり「粗いストーリー」なのだ。
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