会社を迷走させる“DXアオリ虫”の生態 流行語に踊らされる経営の末路(3/5 ページ)
デジタル化を進めるものの、肝心の変革は一向に進めず、結果的にお金のムダ遣いをしてしまう人が増えている……。
[退治方法]「チェンジ・ザ・ルール」
DXアオリ虫はIT・コンサル会社にとっては莫大な利益をもたらす「益虫」だが、残念ながら、その他の会社では多くの場合、「害虫」となってしまっている。本来、デジタルを活用して経営のあり方を変革していくことは必要なことだ。つまり、そもそもDXアオリ虫はすべての会社にとって益虫であるべきなのだ。そのため、単純に退治・駆除するのではなく、益虫に変容させる知恵が必要になってくる。
そのための特効薬が、部分最適を全体最適に変える「チェンジ・ザ・ルール」と呼ばれる手法だ。それには、次の2つの問いを考えてみるとよい。
1 「見える化すべきは、個々の効率か? 全体の制約か?」
2 「変えられない過去、変えられる未来、どちらに集中すべきか?」
全世界で1000万人が読んだベストセラー『ザ・ゴール』の著者であり、物理学者でもあるエリヤフ・ゴールドラット博士は、次のような金言を遺している。
「どのような尺度で私を評価するか教えてくれれば、どのように私が行動するか教えてあげましょう。もし不合理な尺度で私を評価するなら、私が不合理な行動をとったとしても、文句を言わないでください」
出所:『ゴールドラット博士のコストに縛られるな!』(ダイヤモンド社)
部分の効率を見える化して評価尺度に使えば、部分最適になるのは免れない。不合理な尺度が不合理な行動を招いてしまうというわけだ。
言い換えれば、全体の仕事の流れを見える化して、その中に潜む制約の解消に集中すれば、未来を変えられる。部分最適から全体最適へ、「チェンジ・ザ・ルール」が可能となる。
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