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会社を迷走させる“DXアオリ虫”の生態 流行語に踊らされる経営の末路(2/5 ページ)

デジタル化を進めるものの、肝心の変革は一向に進めず、結果的にお金のムダ遣いをしてしまう人が増えている……。

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コンサルやIT会社にとっては「益虫」


組織をダメにするのは誰か? 職場の問題解決入門』(岸良裕司/クロスメディア・パブリッシング)

 やっかいなのは、DXアオリ虫はフィジカル(物理)空間のみならず、ネットやeメール、SNS、ビデオ会議などのサイバー空間を通じても職場に侵入するため、防御が極めて困難なところだ。

 この事態を何とかしようと、社外のIT会社やコンサルティング会社から知識と経験の豊かな専門家を招くと、事態はさらに深刻になる。なぜなら、これらの専門家たちこそ、DXアオリ虫の親玉、もしくは先兵隊、もしくは女王バチならぬ「女王DXアオリ虫」だからだ。

 これらの虫が現場にヒアリングをしてデジタル化を提案・推進していくが、ここに大きな落とし穴がある。

 もし、現在の仕事の進め方が部分最適だったら、デジタル化したことで部分最適な進め方が今後何年も固定化され、肝心の変革を妨げる障害とさえなりうる。

 しかも、このような取り組みが成功事例として「DXフォーラム」などと称したイベントやメディアで紹介されると、変革そっちのけのまぬけなDXが世の中にさらに広がっていく。

 IT・コンサル会社に支払われたお金は、本来はその会社の従業員の給料やボーナス、または株主還元への原資となるはずのものだ。まぬけなDXを導入した対価として社外に流出してしまうのは、あまりに悲しい。

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