プロポーザルによる事業者選定、自治体は提案書をどう評価すればいいか? 「審査基準」のポイントを紹介(2/2 ページ)
自治体の調達方式の一つである「プロポーザル型事業者選定」を想定した調達仕様書の構成について、今回は調達仕様書と審査基準をどのように整合させていくのかについて考える。
審査項目の配点はどう決めるべきか
さて、ここまで説明してきて、気になるのは「MUSTとWANTの配点をどうすればいいのか」という点です。私は他の審査項目と併せて、全体を次のような配点割合にしています。
- 必須要件(MUST):40%
- 提案事項(WANT):20%
- 面談審査(プレゼンテーション):20%
- 価格評価(見積額):20%
さらに、機能要件、非機能要件、業務遂行要件など、仕様書の章ごとにも配点割合があります。
- 提案の全体概要:30%
- 委託対象システムの要件(仕様書第4章):30%
- 委託作業の要件(仕様書第5章):20%
- 委託業務遂行の要件(仕様書第6章):20%
あくまでも経験則ですが、全体をこのように配分したうえで、個々の審査項目に対して配点を割り当てていくと、バランスの良い審査基準ができます。
ところで、必須要件(MUST)になぜ40%も配点するのでしょうか。これは苦肉の策という側面もあるのですが、必須要件を満たさない提案をやんわりと排除するためのものです。本来、必須要件を満たさない提案は失格にするべきですが、失格というのは一種の不利益処分です。事業者側も提案に対して相当のコスト(労働力)を払っているので、その判断は慎重に行う必要があります。
そこで、必須要件はどの事業者も満点を取ってくることを前提として、必須要件を満たしていない提案は、その審査項目にのみ配点を行わない(0点とする)ようにすることで、評価を下げるという手法を採用しています。そのためには必須要件に相応の配点がないと、評価を下げる効果が働かないのです(もちろん、特定の事業者に有利、不利な調達仕様書を作成しないことが前提となります)。
また、プロポーザル方式で事業者を公募する際に、この審査基準を公開するべきかが自治体の中で議論となるケースがあります。これは調達仕様書や審査基準の熟度が低いまま、事業者を選定することへの自信のなさの表れかもしれません。
逆にきちんと調達仕様書や審査基準ができているのならば、私自身は積極的に公開するべきだと考えています。
特に審査項目のそれぞれの配点を公開することには意味があり、発注者である自治体がどのような提案内容を重視するのかを配点として伝えることで、互いのミスマッチを防ぐ効果も期待できるからです。
また、可能な限りそれぞれの審査項目は定量的に評価できるようにするべきです。この具体的な方法については、次回以降ご説明しましょう。
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