熾烈なIT人材争奪戦、ポイントは? 必要なのは「お金」だけじゃない(4/4 ページ)
IT人材の争奪戦を各社が繰り広げる中、どんな点に留意すべきか。採用代行サービスを手掛ける企業「レイン」の代表に聞く。
「アルムナイ」関連企業と統合
レインは2024年、アルムナイサービスを手掛けるハッカズークと経営統合した。アルムナイとは、卒業生や企業の退職者を意味する。ハッカズークのサービスには、企業がアルムナイの現職情報を確認できる名簿機能のほか、退職者同士がやり取りできるSNS機能などがある。
「レインはこれまで、エンジニアが輝ける社会を目指してきました。しかし、当社単独では事業拡大や目指す世界の実現に時間がかかってしまいます。アルムナイ事業を展開するハッカズークとの統合により、採用から退職まで手掛けるようになり、目指すべき姿の実現に早く到達できると考えました」(芦川氏)
アルムナイサービスによって企業は「退職した理由」「退職者に共通する傾向」といった匿名データを得られる。これらのデータは退職防止策の構築だけでなく、採用活動にも生かせるだろう。
IT業界を巡っては、経済産業省が2018年のレポートで言及した「2025年の崖」をいかに乗り越えるかが課題とされる。2025年の崖とは、老朽化したレガシーシステムや、そのブラックボックス化、人材不足を乗り越えなければ、2025年以降にばく大な経済損失が生まれることを指す。レインのような採用代行を含めて、さまざまなサービスを駆使して、いかに複合的な問題を解消できるか問われている。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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