再開発に成功した街・下北沢 高層ビルで安易に”稼がない”発想はなぜ生まれたのか(1/5 ページ)
さまざまな場所で行われる再開発。疑問視されるものも多い中で、下北沢が「成功例」として注目を集めている。
再開発に成功した街は? そう問われたら、私は迷わず「下北沢」と答える。
下北沢では2010年代の後半から複数の再開発事業が行われており、2025年度末の駅前ロータリーの整備で、そのほとんどが終了する予定だ。まだ計画の途中ではあるが、再開発の「成功例」として取り上げられることが多い。例えば、NHK取材班が全国で進む再開発の現状を追った『人口減少時代の再開発:「沈む街」と「浮かぶ街」』では、今後の再開発のあるべきモデルとして下北沢が紹介されている。
下北沢の再開発はどのように進められたのか。成功要因はどこにあり、それを他の街で展開するにはどうすればいいのか、分析してみよう。
下北沢に行ってみた
まず、再開発の現状を探るため、下北沢に足を運んだ。地下深くにホームがある小田急線の駅を降りると、駅前広場には若者がかなり集まっていた。
駅のすぐ近くには「シモキタエキウエ」や「ミカン下北」という商業施設がある。これらの特徴は、高層ビルではないこと。近年の再開発では、駅前に高層ビルが建てられ、そこにオフィスや商業施設などのテナントが入ることが多い。しかし、下北沢はそうではないのだ。
さらに、歩いていて気付くのが“座る場所”の多さだ。ミカン下北は入り口の階段に座れる場所があり、そこに座っている若者も多い。再開発が進みながらも、座れる場所が激減している渋谷とは大きく異なる。
その他、敷地面積約2万7500平方メートルの線路跡地を開発した「下北線路街」には、13の施設が整備されている。そこには、さまざまなテナントが入った「BONUS TRACK」や「reload」など、チェーン店がほとんど入居しない、個性的な商業施設が立ち並ぶ。
これらはほとんどが2階建てだ。低層であることで、下北沢に昔からある商店街の景観とも自然になじみ、街にうまく溶け込んでいる。見上げる必要のない“人間サイズ”の街で、歩いていて楽しいと感じた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
スタバVS.コメダ 日米コーヒーチェーン徹底比較で見えてきた立ち位置
人気カフェチェーンのスタバとコメダ。実はこの2つは、同じ日本でシェアを拡大しつつも、絶妙にターゲットや店の目的が異なる。両者の特徴を見ながら、日本のコーヒーチェーンの現在地と未来について考えてみよう。
突然、普通の街が観光地に! インバウンドが押し寄せる「ニッチ観光地」から考える日本観光のあり方
インバウンド増加で、ニッチな場所が「観光地化」している。それによる観光公害が発生する中、私たちに必要な考え方とは。
なぜ百貨店は正月に休むのか 「人手不足」説に隠れた各社の真意
高島屋や大丸松坂屋百貨店など、2025年に都内で元日営業する主要百貨店はゼロになった。要因として人手不足が挙げられがちだが、それだけではない。
単なる「ブーム」ではない カプセルトイ専門店が爆増する背景にある「コスパ」の正体
第5次ブームを迎え、業界全体が急成長している「カプセルトイ」。このブームを支えているのが「カプセルトイ専門店」だ。爆増するカプセルトイ専門店は、なぜそこまで人気があるのか? 今後もこの勢いは続くのか?



