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「自分にしかできない仕事」をつくる人は、どんなことを大切にしているのか新入社員の教科書(2/3 ページ)

「自分にしかできない仕事」は、最初から与えられるものではなく、小さな仕事を積み重ねる中で生まれる。与えられた仕事を工夫しながら誠実にこなすことで信頼を得て、次のチャンスが広がっていくようだ。

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新入社員の教科書 「伸びる人」の習慣 「伸びない人」の習慣』(菅沼勇基/クロスメディア・パブリッシング)

 とはいえ、最初からは売り場に出させてもらえません。家電量販店の売り場の販売員はそれなりのベテランが務めていて、やはり「売る力」のある人だけがあそこに立てるのです。ですから、最初は品出しをしたり、バックヤードで商品のストックをきれいに整理整頓したりといったことしかやらせてもらえません。ただ、しばらくすると、「売り場に立っていい」という指示が出たので、そこから売り方を覚えていきました。

 もともとやりたかったのは営業の仕事なのですが、そのためには販売を勉強しなければならないという考えがありました。販売をわかった上でないと、営業などできないと思っていたのです。

 販売の仕事というのは、購買意欲がある人に対して、いかに「購入の決断をしてもらうか」という仕事です。一方で営業の仕事というのは、購買意欲があるかどうかわからない、あるいはちょっと興味があるだけ、という人をいかに「その気にさせ、買ってもらうか」という仕事です。ですから、営業のほうがより難易度は高いと考えています。

 テレビの販売の仕事はそれから1年ほど続けました。ビックカメラで高額なテレビを売るという経験ができたことで、「こうしたら人は動く」「こうすれば人は買ってくれる」というコツのようなものを、なんとなくつかめた感覚がありました。

 仕事には段階があり、会社は将来的に難易度の高い仕事ができるように、さまざまな経験を積ませようと考えて、最初は基礎的な仕事をさせます。それは本人からすれば、「雑用」に見えることもあります。しかし、そうした基礎的な仕事がしっかりできるかを会社は見ているのです。仕事というものは段階を経ながら、だんだん難しくなっていくものなのだということを、この販売の仕事から学べたと考えています。

 そうした経験は、大学を卒業して入った住友不動産でも生かすことができました。

 住友不動産でも、最初は見込み客に対して販売をしていく仕事をします。それも新人はなるべく確度の高いものをやらせてもらい、成功体験を得ていきます。そうして売り方がわかったところで、営業の世界に進んでいきます。

 ところが、私の場合、すでに販売のなんたるかは大学時代に学ぶことができていたので、社会人1年目から営業の現場で仕事をすることができるわけです。他の同期社員とはスタート時点から違っていたのです。

 優秀な人ほど、大きな仕事をやりたいという思いを持っているようです。そういう人は仕事に対する意識が高い場合も多いのですが、最初から効率よく「大きな仕事」で成果を出したがる気質のある人もいます。確かにそういう気持ちもわかります。私も大きな仕事をしたいとずっと思っていましたから。

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