2015年7月27日以前の記事
検索
連載

日本のスタバは、なぜ「絶好調」なのか 米国本社が不調なのに、成長を続けられているワケ(4/5 ページ)

カフェチェーンとして人気のスターバックス。国内では店舗数を順調に拡大し、業績も好調な一方で世界に視野を広げると、実は近年不調にあえいでいる。なぜ、日本のスタバだけが好調なのか。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

ポイント2 立地、客層に合わせた店舗開発力

 日本のスターバックスは、立地に合わせた店舗が全国にいくつもあります。中でも富山県にある「世界一美しいスタバ(富山環水公園店)」は訪日外国人の間で有名です。渋谷のスクランブル交差点に面したSHIBUYA TSUTAYA 2F店も、窓からスクランブル交差点が見下ろせるというクチコミが広がり、訪日外国人が集まるメッカとなっています。

 変わったところでは、以前の記事で紹介した越谷イオンレイクタウン mori 3階店、通称「子連れスタバ」があります。子連れでも利用しやすいソファ席を多用しているほか、子ども向けメニューを用意し、テーブルも低くしています。客導線は広く、ベビーカーでも利用しやすい店内にするなど工夫をした店舗です。


「子連れスタバ」として有名なレイクタウンにある店舗(同前)

 日本のスタバは社内に店舗設計部門を持ち、一級建築士の資格を持つメンバーも複数います。これが立地や客層に合わせた最適な店舗開発を可能にしています。

ポイント3 デジタル対応強化によるCX戦略

 日本のスタバが近年力を入れているのが、デジタル化です。顧客体験価値(Customer Experience=CX)を高め、より利用しやすいサービス開発を進めています。その一環として、2016年に公式モバイルアプリを導入し、2020年には「モバイルオーダー&ペイ」を全店舗で導入しています。


2020年に導入したモバイルオーダー&ペイ(同前)

 モバイルオーダー&ペイは、2019年6月に都内56店舗でスタートしましたが、コロナ禍を契機に全店舗へ導入し、今では同社の定番サービスとして定着しています。全国どの店舗でも、店頭で待つことなく商品をテークアウトできる点が評価されています。

 同社のアプリでは購入金額に応じてポイントがたまり、ドリンクやフードと交換できる「スターバックス リワード」というプログラムがあり、固定客化を図っています。2024年5月からは、会員登録しなくてもモバイルオーダーを利用できるサービス「App Clip」という新サービスも導入し、新規客開拓につなげています。

 こうしたデジタル化を大胆に進められたのは、2015年にTOBによって米スターバックスの完全子会社化となり、上場廃止したことが影響しています。米国本社の子会社になったのが、日本のスターバックスがより自由に成長できるきっかけになりました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る