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「女子」の看板を下ろしたワークマン 当面のライバルは「しまむら」? アウトドアブーム後の戦略長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/4 ページ)

ワークマンが、成長の原動力としてきた女子向けブランドを改称し、全方位戦略を強化する。アウトドアブームが去った今、同社は具体的にどんな展望を描いているのか。

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職人と女性、両面で新たなコラボを実施

 既存店をどんどんとワークマンプラスに転換していく中、従来のユーザーだった職人からは、プロ向けの店ですら駐車場が一般客に占拠されて、行きにくくなったという不満の声も聞かれる。これについて土屋哲雄専務は「今まで4年間は新ブランドのワークマンプラスや#ワークマン女子に人的リソースを割かれていた。ブランドが確立してきて一段落したので、あらためて職人向けの製品に力を入れたい」といった趣旨の発言をしている。

 この1月には、製品開発リソースの8割を作業服に移行する「ワーク強靭化計画」を宣言。作業服で60億円の売上増を目指す。3月にはEXILEのTAKAHIRO氏監修によるプロ職人向けの新ブランド「ZERO-STAGE」から商品を発売した。


EXILE TAKAHIRO氏のサイン入りポスター

 建設業界では働く人の高齢化が顕著で、55歳以上が35%を占める。対して、29歳以下はわずか11%と少ない。「建設業、土木、運送などのあらゆる職種に対応できる、スタイリッシュな作業服で業界を応援したい」という狙いで、LDH JAPANとコラボした。ZERO-STAGEのコンセプトは、「『GO TO STAGE.』 仕事場というステージを楽しみ、輝き、さらに高みへと昇る人へ。」で、スタイリッシュさとハイスペックを掛け合わせた、製品を打ち出していく。


ゼロステージの商品展示

 5月には、ワコールホールディングスと初のコラボとして「きれいを叶えるハーフトップブラ」の発売も控えている。長年にわたり女性の体型を研究し、快適性を重視してきたワコールの技術を取り入れた商品だ。

 近年はリラックス感のあるブラトップやワイヤレスブラが主流となっており、専門メーカー以外にカジュアルウェアのメーカーも女性用インナーウェアを製造販売するようになった。とはいえ肌着の域を超えて、シルエットを整える下着類は技術的なハードルが高い。

 その課題を解決するために、ワークマンとワコールが手を組んだのは、ファッションとして面白くても機能性が乏しい競合他社との差別化になるだろう。評判が良ければ、アイテムが拡大していくはずだ。近年はこうした下着類を販売する百貨店やスーパーの撤退が相次ぎ、特に地方の女性は買いにくくなっている。ワークマンにとって、大きなビジネスチャンスになる可能性が高い。

 以上のような強化策によって、ワークマンはアウトドアブームが終わった危機を乗り切ろうとしている。これからどのような成果が出てくるか、楽しみだ。


ゼロステージの商品ラインアップ

登壇した、土屋氏、EXILE TAKAHIRO氏

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。


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