すき家の「大炎上」「全店休業」なぜ起こった? ネズミや害虫の「混入」ではない根本原因(2/3 ページ)
ネズミや害虫の混入が話題になったすき家。公表の遅れが批判の的になる中、全店の臨時休業に踏み切ったものの短い日数で対策を進められるかは微妙なところだろう。あらためてここまでの流れを整理していく。
完全なシャットアウトは難しいが……
何もすき家を擁護するわけではないが、オープンな環境では害獣・害虫の侵入を完全に防ぐのは難しい。すき家は2月時点で、牛丼業界のトップである1965店舗を国内に構え、客も頻繁に行き来する。たとえ開閉回数の少ない住宅でも、2000戸近くあれば虫を完全にシャットアウトするのは不可能だろう。
ただし、店舗への侵入を許したとしても客への提供は防げたはずだ。SNSで拡散した画像を見ると、混入したネズミはレンゲ1杯分ほどの大きさであり、すき家の主張通り椀にいたとすれば、みそ汁を注ぐ前に店員が気付くはずである。
昭島駅南店で発生した害虫の混入についても、同様のことがいえる。過度なオペレーションで店員が無心に作業をした結果、異変に気が付かなかったのではないか。すき家では過去、2022年1月にいわゆる「ワンオペ」で作業していた従業員が明け方に倒れ、誰にも気付かれずに死亡した事例が発生している。
なぜ、公表が遅くなったのか
事件後の初動対応におけるミスも見逃せない。ネズミ混入事件でいえば「直後に自ら公表しなかったこと」がミスといえる。発生したのは1月だが、すき家が第1報を公表したのは2カ月後。発生した時点で消費者から店舗側にクレームがあったが、1月時点で公表はしていなかった。
レビューの投稿が3月に話題になったため、あらためて公表したのだろう。SNSや報道では対応の遅さに批判が集まっている。これを受けてか、続く昭島駅南店での害虫混入ではSNSでの拡散後ではなく、翌日に自ら公表している。ネズミ混入事件がなければ、隠ぺいしていた可能性も高いのではないか。
似たような事例では、2014年に発生した「ペヤングソースやきそば」へのゴキブリ混入が挙げられる。同事例でも商品に混入した写真がTwitter(当時)で拡散した。製造元のまるか食品は、当初「通常の製造過程で混入は考えられない」と主張していたが、投稿者に対して削除要請するやり取りが拡散されると、さらに炎上した。最終的にまるか食品が混入の可能性を否定できない旨を公表し、全商品の生産・販売を休止している。
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