帝国データバンクの調査によると、2024年度の「洋菓子店」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は51件と、過去最多を更新したことが分かった。
前年度(32件)から1.6倍となり、これまで最も多かった2019年度の44件を上回った。洋菓子店の倒産増加が続いた2019年度までは、コンビニなどの安価で手軽なスイーツとの競争激化に耐えられず、市場からの撤退を余儀なくされたケースが多かった。2024年度は、原材料として使用量の多い小麦粉、鶏卵や砂糖、バターといった食材に加え、円安の影響を受けたナッツやフルーツ、カカオ不足で高値が続くチョコレートなど、主要な原材料や包装資材の仕入価格が高騰したことが影響した。
一般的なショートケーキ(ホール・18cm丸型)にかかる原材料コストを、店頭価格データなどを基準に「ケーキ原価」として算出した結果、原価は5年間で2割超上昇。チョコレートケーキの原価もカカオ不足の影響を受け5年間で約3割上昇し、ケーキの製造にかかわるコストの上昇傾向が続いている。ほかに、販売スタッフなどの人手不足、大手チェーンや近隣他店との競争激化なども加わり、厳しい経営環境となっているようだ。
損益状況は約3割が赤字
こうしたコスト増加分をケーキの販売価格に転嫁できず、利益を確保できない洋菓子店の割合が増えている。2024年度の洋菓子店における損益状況をみると、約3割(32.2%)が赤字となり、「減益」を含めた「業績悪化」の割合は約6割(60.6%)にのぼり、過去最大だった2020年度(70.3%)以来の水準となった。
帝国データバンクは、「安価で高品質、充実した品ぞろえの『コンビニスイーツ』や、店舗拡大を進める大手洋菓子チェーン店との競争が激化するなか、スケールメリットによるコスト低減余地に乏しく、昨今の物価高で価格に敏感な消費者による買い控えを懸念して値上げが難しくなっていることも、洋菓子店の倒産が急増した要因になったとみられる。カカオなどの原材料価格は引き続き高騰が見込まれるなど経営環境は厳しく、2025年度も倒産増加が続く可能性がある」とコメントした。
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