セブン店長が過労で命を落とした コンプラ重視の時代に“心を壊す人”が増えているのは、なぜか:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
24時間営業をするコンビニの店長が自殺した件について、6カ月間で1日も休日がない連続勤務を原因とした「労働災害」が認定された。なぜコンプラが騒がれる中、こうした自体が起きてしまったのか。
本当にセブン&アイに責任はないのか
確かに法律的には「契約企業の不祥事」であることは事実だが、このセブン&アイの回答を「ですよね! 悪いのはブラックな契約先であって、セブンは巻き込まれただけでしょ」と支持できる人は少ないはずだ。
セブンのブランド、そして「24時間営業」というビジネスモデル下で発生した労働災害なのだから、無関係というのはさすがに無理がある。まずは哀悼の意を表して、契約企業で起きた事案とはいえ、FC本部としても重く受け止めていると伝えて、今後はフランチャイズオーナーとともに労働環境改善に努めていくくらいの姿勢を示すべきだ。特にセブン&アイにはそうすべき理由もある。
なぜかというと今、日本では「過労で心が壊れる人」が急速に増えているという深刻な問題があるからだ。
厚生労働省発表の「令和6年版 過労死等防止対策白書」によると、過労による精神障害で2023年に労災認定された人は883人。2022年より173人増加し、過去最多となった。このうち自殺または自殺未遂は79人だった。
「私たちは全ての活動にかかわる人の人権を尊重する」と表明しているセブン&アイは、2021年に「セブン&アイグループ人権方針」を定めている。これは自社の役員や従業員だけを対象したものではなく、「全てのビジネスパートナーに対しても本方針の支持を継続して働きかけ、協働して人権の尊重に取り組んでまいります」と高らかに宣言している。
それはつまり、セブンの38歳店長が6カ月間休みなしで働いた末、心が壊れて亡くなったことを「契約先の労災なんで関係ないっす」と他人面するのは、この人権方針が「うそ」だと認めてしまうことになるのだ。
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