USJの「思わず笑顔になる」褒め合い文化に学ぶ ポジティブなチームの作り方(2/2 ページ)
人間は放っておくと、本能的にネガティブな側面に目を向けがちだという。チームメンバーをポジティブに導くには、どうすればいいのでしょうか。USJのV字回復期を支える人材育成を担い、『最高の自走型チームの作り方』を執筆した梅原千草氏が、自己肯定感を高める3つの方法と、USJが実践する、メンバーにポジティブ感情を抱かせる「Hand IN Hand」という取り組みについて解説する。
USJが実践 チーム内のポジティブ感情を高める「Hand IN Hand」
ポジティブ感情とネガティブ感情の3:1という割合は、チームにおいても同様の効果を生み出します。何もしなければネガティブな状況に陥りやすいため、チームメンバーの承認欲求を満たす働きかけが必要なのです。
「私はチームに貢献できている」「私はチームにとって必要な存在である」と自信を持ってもらえる状態を作るために、リーダーから積極的に感謝の言葉や認める言葉をかけ、メンバー間でも承認欲求を満たし合えるような状況を作り出します。
USJには、クルー同士が感謝や称賛を伝え合う「Hand IN Hand」という仕組みがありました。
複写式の名刺サイズのカードに、「朝会うときにいつも笑顔で挨拶してくれてありがとう。元気になれます」「先日は相談に乗ってくれてありがとうございました。挑戦してみますね」「今日の会議での発言すごくよかった。これからもどんどん発言してください」など、相手のいいなと思ったことや感謝したいことがあった際に、その気持ちを書いて相手に渡すというものです。複写になっているのは、1枚は相手に、もう1枚は回収ボックスに入れるためです。回収ボックスに集まったものは、定期的に集計をして、多くもらった人だけでなく、多く渡した人も表彰される素敵な仕組みでした。
最初はなかなか利用する人が少ない状況でも、まずはリーダーから渡していると、もらったときの嬉しい経験につながり、次第にメンバー同士やメンバーからリーダーへも渡されるようになっていきました。
このような取り組みは、もらった人の承認欲求が満たされるだけでなく、
- メンバーのいいところを見つけようという意識が働く
- 渡すとき、渡されるときに、笑顔のコミュニケーションが生まれる
- 渡す側も相手の喜んでいる状態を見ることで、貢献できたという満足感が得られる
- カードに書かれた行動を繰り返すようになり、チームにプラスの行動が増える
という効果をチームに与えてくれます。
カードは作れなくても、付箋に感謝を書いて渡したり、メールの最後に一文でも感謝の言葉を入れたり、朝礼やチームミーティング、四半期報告会などの場で、感謝の言葉をかけ合う時間を取ることもできます。
最初は照れてしまうかもしれませんが、きっと、メンバーは笑顔になりますよ。その状況を見て、またリーダーのポジティブな感情も高まるという好循環が回り始めます。
筆者プロフィール:梅原千草(うめはらちぐさ)
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン事業会社に新入社員第1期生として入社。2010年に社内教育機関ユニバーサル・アカデミーを立ち上げ、初代学長としてV字回復期の人材育成に貢献。
2015年に独立。株式会社SmiLearnを設立し、自走する個人、自走するチーム作りを支援すべく、人材開発コンサルタント及び研修・講演講師として活動中。
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