転職で“リセールバリュー向上”を狙う20代 人材流出を防ぐには、どうすべき?(2/2 ページ)
20代の約3人に1人が、転職潜在層――。若い世代のキャリアに対する意識は大きく変化している。本稿では、待遇面だけでなく、企業文化や成長機会など、若者が企業に求める真の価値や、企業が取り組むべき対策について具体的に提案する。
「待遇面アピール」だけでは20代に響かない
待遇面だけでなく、若者における企業の社会貢献性への関心も高まっている点は見逃せないと言えるでしょう。
新卒の就職活動において「エシカル就活」という言葉が聞かれるようになって久しいですが、これは企業の倫理観や社会貢献性を重視する就活スタイルを指します。環境問題や社会課題への取り組み、企業の透明性など、企業が社会に及ぼす影響を考慮して就職先を選ぶ若者が増えているのです。
この傾向は、中途採用市場においても無視できない要素になりつつあります。「仕事を通して、社会に貢献したい」「社会貢献性の高い事業をしている企業で働きたい」――といった若者の声を聞く機会が増えていることからも、この傾向は顕著です。
彼らは、仕事を通して得られる充実感ややりがい、自分自身にうそがない仕事ができるかどうかに重きを置いているように見受けられます。
待遇やスキルアップの機会だけでなく、企業理念や社会貢献活動への共感といった、より本質的な価値観が、若者の企業選びを左右する時代になりつつあります。採用を成功させている企業は、このような若者の価値観を理解し、企業の社会貢献性に関する情報発信やアピールを積極的に行っている傾向にあります。
まとめ
20代の約3人に1人が転職潜在層である現代において、企業は若者のニーズを的確に捉え、採用戦略を練ることが求められています。本稿では、ハタラクティブの調査データなどを基に、若手人材の獲得における重要なポイントを考察しました。
待遇面やスキルアップの機会といった従来の訴求だけでは、優秀な若手人材を引きつけ、定着させることは難しくなっています。終身雇用制度の崩壊やSNSの普及といった社会背景の変化も相まって、若者のキャリア観は大きく変化し、企業選びの軸も多様化しているためです。
現代の若者は、企業の社会貢献性や、自らの価値観との合致、そして将来を見据えた市場価値の向上といった、より本質的な価値を求めています。
企業は、これらの変化をしっかりと認識し、自社の魅力を効果的に発信していく必要があります。社内における成長機会の提供、透明性の高い人事評価制度、そして、自らが携わる仕事を通して社会の役に立つ実感を得られるかどうかも、若手人材にとって企業選びにおける重要な要素となっています。多角的な施策を通じて、優秀な若手人材の獲得・定着を目指していくことが重要です。
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