Threadsはサービス開始から20カ月を迎えた。アプリの成長可能性や、Xの相対的な衰退についての議論が続く中、リアルタイム型SNS市場の現状と、Threads、X、Blueskyの各プラットフォームがどのような成長を見せているのかを確認する価値がある。
果たして、ThreadsはXを追い越す軌道に乗っているのだろうか?
「Threads Vs. X」の勝者は……?
ユーザー数の成長という観点では、明らかにThreadsの勢いが勝っている。
以下のグラフを見れば分かるように、2023年7月のローンチ以降、Threadsは着実かつ加速度的に成長を続けており、現在では月間アクティブユーザー数が3億2000万人に達している。アプリのダウンロード数も堅調に伸びており、このままいけば年内にも4億人を突破する可能性が高い。
とはいえ、これはXのユーザー数にはまだ届かない。Xは3月時点で月間アクティブユーザー数6億人を公称している。
この数は依然として大規模だが、Xがこの1年間で増加させたユーザー数は約5000万人にとどまっており、Threadsの2億人増と比べて成長率はかなり低い。これはThreadsが新興サービスであることを考慮すれば当然ではあるが、今後の成長加速を占う上でも好材料といえる。
ただし、現在の数字を見る限り、Threadsが2025年内にXを追い抜く可能性は低い。もっとも、スレッズは最近スポーツやリアルタイムコンテンツへの注力を強めており(スポーツはX上で最も話題になるトピックでもある)、これがさらなる成長を呼び込む可能性もある。
一方、Blueskyも成長は続けているが、他の2つに比べるとその規模はまだ小さい。
Blueskyは、2024年2月時点のユーザー数500万人から現在は3500万人まで増加しており、2025年の最初の4カ月だけでさらに500万人を追加している。ただし、2024年の最後の四半期に月間500万人増という急成長を見せていた時期と比べると、勢いは鈍化している。
これはBlueskyの成長モメンタムが一旦落ち着いたことを示唆しており、今後はXとThreadsの二強による主導権争いが本格化することになるだろう。ただし、いずれかが失速すれば、Blueskyの成長に再び弾みがつく可能性もある。
ちなみに、もう一つの分散型SNSとして注目されたMastodonの月間アクティブユーザー数は現在90万人未満にとどまっている。
とはいえ、大衆へのアピールという観点では、やはりX対Threadsの構図が中心であり、成長トレンドを見るかぎり、長期的にはThreadsが優位に立つと考えられる。Xの成長は明らかに鈍化しており、さらにXが発表するユーザーデータには矛盾が多く、信ぴょう性が疑問視されている。
仮にイーロン・マスク率いるXの発表をうのみにしたとしても、Threadsは2026年末までにXの月間アクティブユーザー数を上回る軌道に乗っているといえる。さらに、もし現在の成長ペースが加速すれば、そのタイミングは前倒しされる可能性もある。
ただし、米Metaが戦略を誤れば、成長の「糸(thread)」を見失う危険性もある。
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