米中の“チキンレース”にTikTokも参戦? 関税ゲームの行方を読む:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
米国のトランプ関税が世界を揺るがす中、特に中国への打撃は大きい。米国にあおられるままに報復関税をかけ、互いに高い関税を課す事態に。中国は欧米製品を標的とした情報工作まで実施している。日本への影響も避けられない状況だ。
世界を読み解くニュース・サロン:
本連載は、国際情勢やビジネス動向を深掘り、グローバルな課題とそれが企業に与える影響を分析する。米中関係やテクノロジー業界の変動、地政学的リスクに焦点を当て、複雑な要素を多角的に捉えながら、現代社会の重要な問題を分析。読者にとって成功への洞察を提供していく。
米国のトランプ関税が世界を揺るがしている。
2024年の米大統領選の公約から、ドナルド・トランプ氏は、米国の貿易赤字を減らし、減税などで経済を「再び偉大にする」と主張してきた。そして大統領に就任した1月20日から、次々と容赦ない関税措置を打ち出してきた。
特に打撃を受けているのが中国なのは間違いない。中国は現在、自国が「いじめられている」と主張し、米国の経済的「攻撃」に対して報復関税で対抗している形だが、それが混乱を大きくしつつある。
この米中の関税戦争はどこに向かうのか。現在、米国側の対中国の関税はひとまず小休止だといわれており、ボールは中国側にある状況だ。今、中国は情報工作などで世界に揺さぶりもかけている。このままいくと、日本にも大きな影響を与えかねない状況だ。
まず、ここまでの流れを時系列で簡単に振り返りたい。トランプ政権は2月1日、隣国のカナダとメキシコに25%、中国からの全ての輸入品に10%の関税を課す大統領令に署名した。すると、中国はその関税措置がWTO(世界貿易機関)のルールに違反しているとして提訴。さらに報復として米国のエネルギーや大型自動車などに10〜15%の関税を課すと発表した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
日本発の「夢の電池」はどこへ? 日本の技術がどんどん流出する理由
「夢の電池」と期待される技術が中国企業に流出した可能性があることが、国会で取り沙汰された。このようなケースは日本や米国で多数報告されている。怪しい投資などを厳しく規制しなければ、日本の技術開発力がそがれていく危険がある。
炎上、ボイコット、株価急落――それでもイーロン・マスクはなぜ政治に関与するのか
米トランプ政権に関与するイーロン・マスク氏が経営する企業のサービスで、サイバー攻撃や不買運動などが起きている。反発が大きい政策に関わっているからだ。なぜビジネスを危険にさらしてまで政治に関わるのか。マスク氏の意図とは。
DeepSeekが中国系サービスと結びつく? 広がる“データ網”の恐怖
BYDが自動車にDeepSeekを搭載すると報じられた。中国のテクノロジー企業は最近、結びつきを強めているようだ。TikTokやTemuなども含めて、収集したデータの安全性にリスクがあると指摘されている。アプリの利用には細心の注意が必要だ。
TikTokは存続できるのか? 米中対立が引き起こす巨大プラットフォームの試練
米国で「TikTok」の利用禁止措置が物議になった。就任したトランプ大統領が利用禁止を一時停止する救済措置を取ったが、中国政府がデータ収集やコンテンツに影響を及ぼしているという疑念は残る。救済したトランプ大統領の思惑とは。今後はどうなるのか。
大阪・関西万博に忍び寄る“デジタルの影” サイバー攻撃は開幕前から始まっていた
大阪・関西万博が4月13日に開幕する。こうした国際的なイベントの開催時には、サイバー攻撃が多く発生している。今回の万博では今のところ大きな被害はないが、不正アクセスや偽サイトなどが確認されており、注意が必要だ。
