料理人はロボット? 飲食店で始まっている“静かな革命”:ロボットビジネス(1/3 ページ)
ロボットが調理や配膳、後片付けまで担う飲食店が増えている。人手不足や作業の効率化に加え、味の再現性やスピードでも注目される最新技術。人とロボットの協働は、外食の未来を大きく変えるのか。
この記事は『ロボットビジネス』(安藤健/クロスメディア・パブリッシング)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。
お店でご飯を食べるとき、「誰がこの料理を作ったのだろうか?」と考えたことはありませんか。
「実はロボットが作っていた」
そんな時代が当たり前になるかもしれません。
2022年の北京冬季オリンピックで、世界中のメディアを驚かせたのは、選手村やメディアセンターに設置された最先端の調理ロボットでした。天井に張り巡らされたレールを縦横無尽に移動する配膳ロボットが、麺料理やハンバーガーを運んでくる光景は、まるでSF映画のワンシーン。
さらに驚かされたのは、これらのロボットが単に配膳だけでなく、調理までおこなっていたことです。ガラス張りの機械式キッチンでは、調理ロボットがハンバーガーのバンズを温め、パティを焼き、レタスとソースを挟み、パッケージまでおこないました。フライドポテトを作るロボットアームは、素早く動き、リズミカルな動きで油切りをするなど、まるでロボットシェフという姿でした。
これは、オリンピックという4年に1度の世界が注目する特別なイベントだから実現した話ではありません。日本の飲食店でも、ロボットによる調理が着々と進んでいます。
例えば、全国に350店舗を展開する大阪王将ではいくつかの店舗で炒飯やレバニラなどの炒め物を自動で調理するロボットが活躍しています。熟練の職人技を徹底的に目指すことで、火加減・品質・味など、職人が調理したものと遜色がない料理が提供されます。ロボットを活用することで厨房内の人手を1人分程度減らし、飲食店における重要指標となる食材費と人件費の合計金額を示すFLコストを約10%削減することができています。
さらに「レバニラ炒飯セット」といった従来は難しかった炒め物2品のロボットオリジナルセットメニューの提供や座席のタブレットから注文するときに「肉多め」「玉ねぎ少な目」など個人ごとに味をパーソナライズできるという特長もあり、単価や客数のアップにもつながっています。
また、厨房内の温度も下がり、食材の飛び散りや湯煙も減少して床が汚れにくくなったことで、働きやすい厨房環境にもなります。さらには、フライパンを振る作業などは力が必要でしたが、ロボットを使うことにより、力の弱いシニアや女性にも活躍の場を広げられます。
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