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絶対王者「かつや」を脅かす強敵! 店舗数で逆転した「松のや」に勝つためのポイント:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
コロナ禍でも好業績だった「かつや」が転換期にある。たび重なる値上げで客離れを招いたとともに、ライバルの台頭が目覚ましい。かつての絶対王者がふたたび浮上するためには何が必要なのか。
崩れた「ワンコインの壁」
かつやは2022年7月以降、5回の値上げを行っている。2022年7月以前の主なメニュー価格と、現状の価格は次の通りだ。
カツ丼(梅)539円→649円
特カツ丼715円→869円
ヒレカツ丼759円→968円
カツカレー(梅)715円→858円
ロースカツ定食759円→869円
とん汁定食(ロース)715円→869円
ヒレカツ定食869円→1012円
カツ丼(梅)は会計時にもらう100円割引券を使うと、ワンコインで食べられるのが魅力だった。今でも十分に安いが、牛丼と同様にやはりワンコインの壁が崩れてしまった。ロースカツ定食は100円割引券を使うと、まだ700円を切る。昨今の物価高を考慮すると、頑張っている方だ。
それに対して、ヒレカツを使った丼や定食は思い切って値上げしている印象を受ける。かつやに限らず和食の飲食店を悩ませているのは、米価の上昇が止まらないことだ。備蓄米が放出されているにもかかわらず、過去最高値を更新し続けている。
農林水産省の調べでは、4月7〜13日のスーパーでの米の販売価格は、5キロ当たり4217円。前週より3円上がり、前年同期比で約2倍になっている。この状況では、さらなる値上げを余儀なくされるのではないだろうか。
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