「かつや」追う「松のや」の特徴は? “破格”250円朝食も 似て非なるそれぞれの戦略:強みを分析(1/4 ページ)
松屋フーズホールディングスの「松のや」が6月に300店舗を達成した。ライバルがアークランドサービスホールディングスの「かつや」だ。似て見える両社だが、メニューやシステム、立地を眺めるとそれぞれの戦略に違いが見えてくる。
6月、松屋フーズホールディングス(HD)が展開するとんかつチェーン「松のや」が300店舗(併設店含む)を達成した。同じとんかつチェーンといえば、アークランドサービスHDが国内で450店舗(2022年12月時点)を展開する「かつや」を思い浮かべる人も多いだろう。
両者ともメニューや店舗外観はどこか似た印象がある。しかし、調べていくと意外にも相違点は多く、すみ分けされている部分があるようだ。今回は両者のビジネスモデルの違い、そしてさらなる拡大を目指す松のやの展望についてまとめた。
頭打ちの牛丼と入れ替わりに店舗数が拡大
そもそも松屋フーズHDがとんかつ事業に参入した背景には何があるのだろうか。
同社の代表格といえば、牛丼業態である松屋だ。吉野家がチェーン展開をし始めた1968年に開業した。日本の経済成長とともに市場を開拓しながら店舗数を増やしていき、2012年には1000店舗を突破。しかし、その後は国内で牛丼市場が飽和状態となり、吉野家・すき家ともに店舗数の増加は頭打ちを迎えた。
第2の稼ぎ頭を見つけるべく、松屋が力を入れたのがとんかつチェーン・松のやである。01年に始めた「チキン亭」から発展させる形で産声を上げ、13年3月期末には35店舗を展開。牛丼業態が低調に推移し始めたこともあり、このころから出店ペースを加速させた。
以降は競合であるかつやとともに店舗数を増やしていき、19年3月期末時点で188店舗までチェーンを広げた。直近の23年3月期末時点では179店舗と公表しているが、松屋など他ブランドとの複合店を含むと23年6月時点で300店舗を達成している。対して、競合のかつやは22年12月時点で国内450店舗を抱える。松のやとかつや、それぞれが10年代に店舗網を拡大できた理由は、低価格帯のとんかつ店がなかったことも大きいだろう。
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