「かつや」追う「松のや」の特徴は? “破格”250円朝食も 似て非なるそれぞれの戦略:強みを分析(2/4 ページ)
松屋フーズホールディングスの「松のや」が6月に300店舗を達成した。ライバルがアークランドサービスホールディングスの「かつや」だ。似て見える両社だが、メニューやシステム、立地を眺めるとそれぞれの戦略に違いが見えてくる。
男性客重視のかつや、全体重視の松のや
どこか似た印象のある両者だが、ターゲットとする客層は異なる。それぞれの違いはメニューを見ると一目瞭然だ。
まずはかつやのメニューを見てみよう。丼もの、定食、カレーなどのジャンルがあり種類は豊富だが、ヘルシーさを打ち出すなど、女性をターゲットにした商品はない。いずれも揚げ物と米が主体のシンプルな商品が多い。カツ丼やカツカレーでは、ボリュームごとに松・竹・梅の3種類を提供している。
かつて女性向けメニューを訴求したこともあったが業績改善につながらず、男性客ターゲットにシフトしたようだ。
一方、松のやも同じく丼もの、定食、カレーを提供しているが、「ささみかつ定食」や「四季の野菜と本格唐揚げのスープカレー定食」など、さっぱりしたものや女性向けらしきメニューもそろえている。お子様メニューのラインアップもあり、ファミリー客もターゲットとしていることが分かる。その他、2種類以上の揚げものが乗った「盛合せ定食」というボリューミーなジャンルもあり、非常に幅広いターゲットを狙っているとみられる。
250円の「玉子かけごはん定食」といった“破格”の朝メニューも松のやの特徴である(松屋併設店では販売していない)。まとめると、かつやが男性客に絞っているのに対し、松のやは幅広い層をターゲットにしていることが分かる。
店内のシステムや店舗立地も異なる
メニュー以外にもいくつかの違いが挙げられる。例えば、店内のシステムだ。かつやは従業員が注文を取り、できあがった料理は席まで運んでくれる方式を採用している。会計は食後にレジで済ます。対する松のやは、券売機を導入しており、決済は食前に行う。自分の番号が呼ばれたら商品を取りに行き、食後には食器を返却する必要がある。
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