「かつや」のシェアは60%も!? コロナ禍に負けず、とんかつ・かつ丼市場で圧倒的強さを誇る秘密とは:飲食店を科学する(1/4 ページ)
コロナ禍で多くの外食企業が苦戦している。一方で「かつや」は大健闘しており、筆者の試算ではとんかつ・かつ丼市場におけるシェアが6割近くにもなるという。その強さの秘密とは?
飲食店コンサルタントの三ツ井創太郎です。「Go To Eatキャンペーン」なども始まり、飲食業界の売り上げ回復が期待されます。しかし、現状では苦戦している状況が続いています。
上場外食企業各社においても、かなり厳しい業績が目立ちます。一方、2020年1〜9月までの売り上げが対前年比110%超えという驚くべき業績を実現している外食企業があることを皆さんはご存じでしょうか?
「かつや」を運営するアークランドサービスホールディングス
今回ご紹介するのは、揚げたてのかつ定食やかつ丼を提供する「かつや」とその運営会社であるアークランドサービスホールディングスです。「とんかつ専門店」の多くが客単価1000円超という状況ですが、全国に展開しているかつやの客単価は700円台です。
その人気ぶりはコロナ禍でも衰えることはありません。テークアウトの売り上げが伸長していることもあり、好業績をキープしています。
まず、アークランドサービスの20年1月以降の売上推移を見ていきます。
対前年比で100%を下回っているのは4月の93.3%のみで、それ以外の月は前年を上回っています。また、かつやの既存店だけを見ていくと、1〜9月の累計で同99.3%です。これは、コロナ禍で多くの外食企業が60〜70%となっている状況を考えると、驚異的な実績となっています。
数値を細かく見ていくと、1〜9月におけるかつやの既存店客数は91%ですが、テークアウトの売り上げなどが好調だったため、客単価が109.2%と伸びています。その結果、売り上げの底上げにつながっています。
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