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絶対王者「かつや」を脅かす強敵! 店舗数で逆転した「松のや」に勝つためのポイント:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
コロナ禍でも好業績だった「かつや」が転換期にある。たび重なる値上げで客離れを招いたとともに、ライバルの台頭が目覚ましい。かつての絶対王者がふたたび浮上するためには何が必要なのか。
期間限定メニューも人気、店舗数はまだまだ増えそう
期間限定のメニューが充実しているのも松のやの特徴だ。「ラムかつ定食」やタイ風の豚バラから揚げである「ムートート定食」といったユニークなメニューも提供してきた。これらは1000円前後とやや高価だが、コロナ禍以降に外食の頻度を減らしてプチ贅沢(ぜいたく)を求める傾向に、よくマッチしている。
松のや単体の売り上げは公表していないが、店舗数の推移は2019年から2025年で大きく増えているわけではない。あくまで併設店として増えているようだ。松屋フーズホールディングスの店舗は駅前立地が多く、ステイホームが奨励されたコロナ禍ではマイナスの影響が大きかった。アークランドサービスの店舗が郊外ロードサイドを主戦場としていたため、有利に働いたのとは対照的だ。
実際、松屋フーズホールディングスの売上高は2020年→2021年で10%強減少している。そこで1店舗当たりの喫食機会を増やすため、店舗を改装して松屋と松のや、マイカリー食堂の複合業態を大量に増やしたわけだ。
松のやの店舗数は、2025年3月時点で195店。しかし、松屋との複合店は松屋としてカウントされており、実質的には松のや店舗はさらに300店以上も存在する。これらを合算すると、前述の通り500店規模である。今後さらに複合店を増やせる余地があるため、かつやとの店舗数は、ますます開いていくだろう。
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