生成AIで会議を効率化 「アジェンダ」「議事録」の作成法【プロンプト紹介】
時間をかければ誰でもできることは、だいたいAIには瞬間的に可能――。今回は会議のアジェンダと議事録作成をAIに任せるプロンプトを紹介する。
この記事は、谷岡悟一氏の著書『ITコンサル1000人にAIでラクになる仕事きいてみた』（クロスメディア・パブリッシング、2025年）に、編集を加えて転載したものです（無断転載禁止）。なお、文中の内容・肩書などはすべて出版当時のものです。
本書では2025年1月現在、無料で使えるサービスの中で使い勝手がよい「ChatGPT 4o」「Claude 3. 5 Sonnet」と「Perplexity」の出力結果を主に紹介します。
会議ばかりをしていても業務は進みません。
短い時間で効果の高い会議を行う必要があります。そのために重要なのが、会議の議題・計画を意味する「アジェンダ」です。
忙しい業務の中では、事前に議題と時間配分を整理するのはなかなか難しいものです。そこで基本条件だけ伝えて、AIに作ってもらいましょう。
著者プロフィール：谷岡悟一（たにおか・ごいち）
株式会社ノースサンド執行役員。ITコンサルティング業界で20年以上の経験を持ち、アプリ開発からITインフラ構築、プロジェクトマネジメントなどの分野で活動。直近は製造業や製薬業界のDXプロジェクトを支援する一方、AI技術の実務応用にも注力している。著書に『「AI思考」は武器になる』（クロスメディア・パブリッシング、2024年）ほか。
会議アジェンダを作成するプロンプト
【プロンプト】
#指示
- あなたはプロジェクトマネジメントの専門家です。以下の条件に従って会議のアジェンダを作成してください。
- できるだけアジェンダは詳細に作成してください。目的に照らして必要な事項があれば、補ってください。
#会議の目的
- 新サービス「思い出のタイムカプセル」ローンチに向けたチームを結成し、プロジェクトの目標、スケジュール、役割分担などを決める。
- 潜在的な課題や問題点を洗い出し、対策を検討する。
#参加者とその役割
- 田中太郎 プロジェクトリーダー
- 佐藤花子 プロダクトマネージャー
- 鈴木一郎 デザイナー
- 高橋美咲 エンジニア
- 渡辺健太 マーケティング担当
#トピック
- キックオフに当たり、サービス内容、戦略、スケジュール、役割、懸念事項などを決める。
#全体の所要時間
60分
#出力形式
会議アジェンダ（所要時間）
進行する順番で番号を付けて出力すること
例：１．チームメンバーからの報告【15分】
1-1.設計担当者からの報告（3分）
今回のプロンプトのポイントは、「できるだけアジェンダは詳細に作成してください。目的に照らして必要な事項があれば、補ってください」という条件を設定して、おおまかな会議の位置付けだけ伝えればAIが詳細を詰めて考えてもらえるようにすることです。
【回答】
会議アジェンダ（所要時間：60分）
1.オープニングと会議の目的確認【5分】
1-1. 田中太郎による挨拶と会議の目的・進行内容の確認（3分）
1-2. チーム全員の自己紹介と簡単な役割紹介（2分）
2.プロジェクト目標と全体方針の説明【8分】
2-1. 田中太郎によるプロジェクト全体の目標設定と意義の説明（4分）
2-2. 各メンバーからの質疑応答と目標に対する共通認識の確認（4分）
3.サービス内容とターゲット戦略の共有【10分】
3-1. 佐藤花子による「思い出のタイムカプセル」サービスのコンセプトと提供価値の説明（5分）
3-2. 渡辺健太によるターゲット市場の戦略とプロモーション方針の説明（5分）
4.プロジェクトスケジュールとマイルストーンの確認【10分】
4-1. 佐藤花子からの主要マイルストーンとスケジュール案の提示（5分）
4-2. スケジュールに対するリスクや懸念点の共有と、スケジュール調整の検討（5分）
5.役割分担とRACIの確認【12分】
5-1. 田中太郎による各メンバーの役割と責任の確認（RACIチャート）（5分）
5-2. 各メンバーからのフィードバックと役割の最終確認（5分）
5-3. 必要なリソースやサポート体制の確認（2分）
6.潜在的課題とリスクの洗い出し【10分】
6-1. 鈴木一郎、高橋美咲から技術面およびデザイン面での懸念点の共有（3分）
6-2. 各メンバーによる潜在的なリスク提起（3分）
6-3. リスクの優先度評価と、初期対応策の検討（4分）
7.次のステップと今後のタスク確認【5分】
7-1. 田中太郎による次のアクションアイテムの確認と各メンバーへのタスク割り当て（3分）
7-2. 次回の会議日程と報告内容の確認（2分）
8.まとめとクロージング【5分】
8-1. 田中太郎による全体の振り返りと要点のまとめ（3分）
8-2. 各メンバーからの一言コメントと決意表明（2分）
このアジェンダは、チーム内の認識の統一とプロジェクトの目標達成に向けた具体的な役割やスケジュールを設定することを目的としています。
いかがでしょうか。これだけのアジェンダを短時間で組むことは簡単ではないと思います。AIを活用すればアジェンダを組むことよりも、AIが作ったアジェンダを見て、改善点がないかを探ることができます。登山に例えると、普通の業務が1合目から山に登っていくものだとしたら、AIを使うといきなり7合目から登れるようなものです。
文字起こしデータから議事録を完成させるプロンプト
さて、AIの作ったアジェンダを活用して会議が終わったとします。その後大切なのが議事録です。議事録は、自分自身が会議の内容を再確認し、各メンバーの共通認識を固める、重要な役割を持っています。
議事録を作るのもAIに任せれば簡単です。AIを活用した議事録の作り方としては、会議の録音をもとに文字起こしを行い、要約をしてもらう方法が簡単です。
また、文章生成AIに指示を出す前に、別のツールで、文字起こしを行う必要があります。文字起こしツールに必要な機能としては下記の機能が上げられます
（1）音声認識：会話内容を聞き取って、テキストデータに変換する
（2）ケバ取り：「えー」「ああ」など会話内容と関係ない発声を自動で除外
（3）話者識別：複数人でも「誰が何を話したのか」自動で識別する
例えば、AI文字起こしサービスの「Notta」やMicrosoft Teamsの「トランスクリプション機能」、LINEの「LINE Crova」などでは、会議の発言者を特定したうえで発言内容をリアルタイムで文字起こし可能です。文字起こしのテキストは会議画面に表示されるだけでなく、ドキュメントやファイルとしてダウンロードできます。
そこで得られた文章データを用いて、議事録を作成するプロンプトをご紹介します。
【プロンプト】
#指示
あなたは議事録作成のプロフェッショナルです。会議議事録を作成します。以下の#入力文 から、指定された制約条件に従い、効果的な議事録を作成してください。
#前提条件
以下の#入力文 の内容は、会議の文字起こしデータです。
条件
- 文字起こしデータはAIによるもので、一部の書き起こしミスが含まれています。この点を考慮して、文脈を理解し、内容を整理してください。
- 会議の基本情報（日時、場所、出席者など）を最初に記載してください。
- 会議での主要な「決定事項」を冒頭でまとめてください。
- 次に「アクションアイテム」をまとめてください。
- 見出しや箇条書きを活用し、情報が検索しやすく、読みやすい構造で記述してください。
- ケバ取りしてください。
- 文脈として意味が不明な箇所は、文脈的に相応しいと合理的に推測される内容に修正、または削除してください。
# 出力形式
- 議論の要点は箇条書きで、発言者ごとに整理された形式。
#入力文
（ここにテキストを入力）
ここでは、文字起こしデータであることを伝えて、それに対する対応を指示している点がポイントです。時間をかければ誰でもできることは、だいたいAIには瞬間的に可能です。シンプルに時間を短縮し、効果を最大化していきましょう。
著者プロフィール：谷岡悟一（たにおか・ごいち）
株式会社ノースサンド執行役員。ITコンサルティング業界で20年以上の経験を持ち、アプリケーション開発からITインフラ構築、プロジェクトマネジメントまで幅広い分野で活動。PMP資格保有者として10年以上にわたり1000人以上の受講生にプロジェクトマネジメント研修を実施。2022年『ストーリーでつかむ！プロジェクトマネジメントの原則』（クロスメディア・パブリッシング）を出版。
直近は、製造業や製薬業界のDXプロジェクトを支援する一方、AI技術の実務応用にも注力。AIを用いた「思考のレバレッジ化」の実践者として、2024年に『「AI思考」は武器になる』（クロスメディア・パブリッシング）を上梓し、技術進化に左右されないAIリテラシーの重要性を提唱している。趣味はスパルタンレースで、トライフェクタ達成の経験を持つ。
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