ロボットは“昼夜問わず”働いている スーパーの裏側で起きていること:ロボットビジネス(2/2 ページ)
ロボットは店舗の“見えない場所”で活躍している。掃除、棚管理、商品補充、警備――。人手不足や業務効率化の課題に対して、昼夜問わず静かに、そして確実に働くロボットたちの姿に注目が集まっている。それは……。
欠品を見つけるだけではなく、飲料や食品の補充をおこなうロボットも増えてきており、例えばファミリーマートは、ロボットが棚に商品を補充するシステムを300店舗に導入しようとしています。お客さんが「いま飲みたい!」と思った瞬間に、必要な商品がすぐに手に入る、そんな便利さを実現しているのです。
店舗としても欠品による販売機会のロスを防げたり、従業員が商品補充の手間から解放されたりするだけでなく、このロボットが店舗の裏側からペットボトルを補充しているあいだ、店員は接客や他の業務にもっと集中できるようになり、顧客サービスの向上につながります。店舗作業の2割の業務量を効率化することができ、1日あたり10時間分の人件費削減につながるとの報告もあります。
そして、昼も夜も警備ロボットが店舗内を巡回し、安全を見守る姿も忘れてはいけません。トラブルが発生した場合でも店舗スタッフや警備員に知らせ、迅速な対応が可能になります。警備ロボットの導入は、店舗に限らず、公園など公共空間に対してもおこなわれており、米国では警察の呼び出しが10%減、犯罪報告数が46%減といったデータも出ています。
また、犯罪の抑止力としても効果があるため、監視カメラと連携することで、セキュリティも強化され、顧客は安心してショッピングを楽しむことができます。
このように小売などの店舗の目に見える場所、見えない場所で、ロボットたちは活躍を始めました。紹介したロボット以外にも接客ロボット、案内ロボット、レジロボットなど多くのロボットが店舗に現れることになるでしょう。これらのロボットが、店舗運営を効率化し、よりよいショッピング体験を提供していくのです。
著者プロフィール:安藤健(あんどう・たけし)
ロボット開発者
早稲田大学理工学部、大阪大学医学部での教員を経て、パナソニック(現・パナソニックホールディングス)入社。ロボットの要素技術開発から事業化までの責任者のほか、グループ全体の戦略構築も行う。大阪工業大学客員教授など複数の大学での教育活動、日本機械学会・日本ロボット学会などの学会活動、経済産業省・業界団体の委員なども積極的に実施。文部科学大臣表彰(若手科学者賞)、ロボット大賞(経済産業大臣賞)、Forbes JAPAN NEXT 100など国内外での受賞多数。ロボットに関する発信や講演活動も展開中。
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