コラム
三井住友「Olive」はなぜ選ばれる? 500万アカウント達成までの舞台裏:「ポイント経済圏」定点観測(4/6 ページ)
三井住友銀行のOliveが急成長している。20代を中心に支持を拡大する理由はどこにあるのか……。
「ポイントと決済の融合が鍵」Vポイント戦略の本質
2024年4月に、TポイントからVポイントへの移行が完了したことは、単なるブランド変更にとどまらない戦略的意義があった。「『知らないポイントはいらない』と消費者は考えます。Tポイントの高い認知度と広範な店舗網があったからこそ、移行がスムーズに進みました」と伊藤氏は語る。そして「ポイントサービス成功のカギは、決済とどう組み合わせるかにあります」と強調した。
ポイントサービス間の競争について、伊藤氏はこう分析する。「PayPayポイントの急成長は、PayPay決済があるから実現しました」と指摘。「つまり、決済とポイントをいかに組み合わせるかが、共通ポイントの成功のカギなのです」と、ポイントサービスの本質を語った。
しかし、課題もある。「決済とポイントカードという枠をもっと融合させていかなければなりません。現状では、例えばポイントカードをピッとかざして、その後に決済するといった2段階のプロセスが必要です」と伊藤氏。「これはお客さまにとっても、店舗側にとっても、大きな手間となります。特に、レジでの操作を2回行う必要がある点は、ナンセンスです」と、今後の改善点を語った。
他社との差別化戦略については、「多くの企業は自社の経済圏からカード決済に移行していく戦略を取っていますが、われわれはカードが中心にあり、そこに周辺サービスを付けていくという逆の発想です」と独自のアプローチを説明。「経済圏にしばられず自由にお店を選べる点、日常利用で自然とポイントが貯まる点が利用者から評価されている」と自信を見せた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
王者Suicaに挑むタッチ決済、その実態と課題
電車などの乗車時に、クレジットカードのタッチ決済が使えるようになる動きが徐々に広がっている。これまで交通系ICカードの分野ではSuicaが圧倒的な存在感を誇っていたが、今後この勢力図はどう変化していくのだろうか。
アプリを開くたびに「推し」に会える喜び モバイルVカードが生み出す「好き」の経済圏
モバイルVカードを好きなデザインに着せ替えできる「Vキセカエ」。人気アニメやスポーツチームなどのデザインが選べるという一見地味なサービスだが、その裏にはポイント利用の根本的な変革を目指す戦略があった。
3万円払っても欲しい? ATMでは使えないのに人気沸騰のメタルカード
JCBが2024年10月に発行した招待制カード「ザ・クラス」が注目を集めている。ATMでは利用できず、発行手数料も3万3000円と高額。それでも発行後わずか2カ月で想定を上回る申し込みがあるという。
「イーサリアム保有で年3%」の衝撃 メルコインの“新経済圏”はどこまで広がるのか
暗号資産を持っていると年3%のポイントとして付く。このサービスを提供するのは、暗号資産サービスを手掛けるメルコインだ。同社の狙いはどこにあるのかというと……。
