プロポーザル提案書評価をChatGPTで実現 メリットと注意点は?【プロンプト紹介】(2/2 ページ)
今回は、プロポーザル評価に生成AIを使う方法を考える。調達仕様書、提案書、審査基準の項目が整合できている状態ならば、ChatGPTによる評価も比較的簡単に実現できる。
画像や図解中心の提案書を評価するには?
ここまでの事例では、PDFで提出された提案書を評価していました。
ChatGPTの中ではこのPDFの中からテキスト部分を抽出し、それを評価の根拠としているのだと思いますが、実際のプロポーザル評価の現場では、画像や図解を含んだ提案書が提出されることもあるでしょう。この場合、適切に提案書を読み取って評価しているのかが不安です。
そこでChatGPTのマルチモーダル機能を使って、画像や図解を読み取って評価するようにしてみましょう。私が試した範囲で紹介します。
まず、プロジェクト内で次のようなプロンプトを投げました。
提案書のPDFファイルを画像形式に変換して、ページごとにプロジェクトファイルの中に保存してください。
これにより、ChatGPTがPDFファイルを画像形式に変換して、ページごとの画像ファイルにしてくれました。プロジェクトファイルとしての保存はできていなかったので、ひとまずこれらの画像ファイルをダウンロードしておきます。
プロジェクトの中で審査させたいページがある画像をアップロードして、先ほどの「可用性」の時と同じような評価をChatGPTに行わせます。
今回は別の審査項目(プロジェクト管理方法)でやってみます。
一次審査表から「プロジェクト管理」に関する審査項目を抜き出した上で、次の指示に従ってください。
アップロードした画像は、「プロジェクト管理」「品質管理」「コミュニケーション方法」について記載されたページの抜粋です。
この画像を読み取って、プロジェクト管理方法について、この評価観点を満たしているかを採点基準に従って評価してください。
もし満たしていない場合は、どのような記載があればよかったのかを併せて示してください。
ChatGPTは画像ファイルとなっている提案書を読み取り、審査項目に従って審査を行っています。
なお、私が試した範囲では、複数の画像をまとめてアップロードした場合や、画像形式のPDFをそのまま読み込ませて評価すると、適切に評価をしてもらえませんでした。今のところ画像の読み取りは単一ファイルに限られるようです。
生成AIによる図解評価の注意点
この記事を書くために、画像ファイルの提案書を何度も読み込ませて、その評価内容を検証していましたが、気になった点があったので補足しておきます。
それは「画像の読まれ方にはバラツキがある」ということです。
考えてみれば当然の話なのかもしれませんが、画像や図解はそれを見る立場によっていろんな解釈ができるのです。
それはAIでも同じで、図の読まれ方で全く逆の解釈をされることもありました。つまり視覚に訴えかけるような提案書は期待している評価が得られるか予想できないのです。
もちろんAIだけで審査をすることはありませんが、AIにより審査を支援する仕組みが一般化してくるのならば、人間の審査員に対して誤った先入観を与える可能性もあります。
今後は図解がどのように解釈されるのかも考慮したうえで、文章による提案を組み合わせた提案書の作成が必要になってくるのかもしれませんね。
次回は「デジタル人材育成」をテーマにして、一緒に考えていきましょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
【事例紹介】ChatGPTで画像生成、自治体業務にも効果大 職員向けに活用法を徹底解説
本記事では、ChatGPTの画像生成機能の基本と使い方から、自治体業務への具体的な活用例、画像中の日本語テキストを修正するコツ、さらにはプロンプトの例や使用上の注意点まで、包括的に解説する。
曖昧さは権力の源泉――プロポーザル評価での「面談審査」で意識すべきポイントとは?
自治体の調達方式の一つである「プロポーザル型事業者選定」。今回は、プロポーザル評価における「面談審査」(プレゼンテーション)の考え方について解説する。
定性的な項目を「定量的」に評価する方法は? 自治体の「プロポーザル型事業者選定」を考える
「使いやすさ」という人によって評価が異なりそうな項目を定量的に評価するにはどうしたらいいのでしょうか? 今回も自治体のプロポーザル型事業者選定を効果的に実施するための調達仕様書、審査基準の構成について考えます。
プロポーザル型事業者選定、自治体職員が押さえておきたい「調達仕様書」の書き方
今回は「プロポーザル型事業者選定」のための調達仕様書の書き方を解説する。
DeepSeekの破壊的な推論能力 自治体にとって“転換点”だと言えるワケ
今回のテーマはローカルLLM。中国のAI企業DeepSeekが自社開発の大規模言語モデル「DeepSeek-V3」「DeepSeek-R1」を発表した。ローカルLLMとしてのDeepSeekの出現は、自治体にとっての一つの転換点となる可能性がある。
