“ディズニー発”のファストパス、飲食店にも続々浸透中 「値上げ」が難しい中、救世主となるか(2/3 ページ)
かつて東京ディズニーランドを中心に遊園地などで導入が多かった「ファストパス」。昨今は飲食店での導入が進んでいる。値上げなどが難しい中、救世主になるかもしれない。
4月に開幕した大阪・関西万博では、有料席を設けたフードコートが営業している。1000席のうち約500席が50分550円で、無料の席は座れず立ち食い形式となる。現在、有料席は空席も見られ、混雑解消の効果を発揮している。以前は不公平感があるとして負のイメージがあった優先券だが、追加料金システムは消費者の間で許容されつつあるといえる。
ラーメン店、カレー店、カフェなどでも広がりつつある
こうした追加料金を払うシステムは飲食店でも導入が進む。日本人は、行列に並ぶことがレジャーの一つとして認識する傾向があるが、外国人は違う。インバウンドの中には「お金を払ってでもスキップしたい」というニーズがあり、TableCheckが2024年2月にリリースしたTableCheck FastPassは、その受け皿となっている。
導入の多いラーメン店では、ファストパスをおよそ300〜500円程度に設定している。1杯1000円強で提供する銀座のラーメン店では、午後のみ500円のファストパスを導入し、混雑解消や顧客満足度向上といった効果やキャンセル被害が減少するメリットもあったとしている。行列に並ぶストレスを解消するほか、先払いしている分「損をしたくない」心理が働き、キャンセルも抑えられるのだろう。他のラーメン店では390円に設定、その収益を時給引き上げや福利厚生の向上に用い、人手不足を解消している。
カレー店やカフェでも導入が進む。最大2時間待ちの行列ができていた「FLIPPER'S 渋谷店」では2024年4月から同システムを導入し、500円の予約手数料を設定した。それでも来客が多いのか、現在では1000円に設定している。同カフェの口コミを見ると長い待ち時間への不満が多く見られる。行列と料理待ちの両方で1時間半以上待たされた客もいるようで、混雑が課題になっていることが分かる。
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