ファミマはなぜパンを「白く」したのか? 累計500万食の「白生」シリーズが挑む主役の座(5/5 ページ)
ファミリーマートの「白生」パンシリーズが累計500万食を突破した。視覚的な新しさと独自の食感で、日常のパン選びに新たな価値を提供し、コンビニパン市場の主役を目指す。
「定番がおいしいチェーン」を目指す
コンビニパン市場では、各社がさまざまな戦略を展開しており、セブン-イレブンは店内での「できたて・焼きたて」に注力する。2026年2月までに、パンや焼き菓子などを焼成する「セブンカフェ ベーカリー」の焼成機を約1万2500台導入する予定だ。できたてパンの展開を拡大し、専門店のような香りや食感を訴求する。
ローソンは2025年に5年ぶりにプライベートブランドを刷新し、「3つ星ローソン」に統一。「圧倒的なおいしさ」と「コスパ・タイパ」を重視した商品開発を進め、「ローソンでしか買えない」独自性を強化している。
こうした競争環境の中、ファミマは「定番がおいしいチェーン」を目指す戦略を展開していく方針だ。定番商品に付加価値を持たせた独自商品を開発し、他社との差別化を進める。「定番の食べ物をアップデートして、昔のままではなく、さらにおいしいものにしたい」(鈴木氏)
「白生パン」シリーズも引き続きバリエーションを増やしていく。ただし、パン売り場全体を「白生化」するわけではない。白い生地を好む層と、従来の焼き色が付いたパンを好む層の双方に対応できるよう、商品構成のバランスに配慮する。
一方で、原材料高騰などの影響で、パンの商品価格が上がっていることを課題と捉えている。そこで、低価格・中価格・高価格と幅広い価格帯の商品を提供し、価格重視の消費者にも対応できる品ぞろえを目指す。
コンビニ各社がしのぎを削るパン市場において、ファミマは視覚的なインパクトと新たな食感を武器に、日常のパン選びに新たな価値を提供した。今後も「定番がおいしいコンビニ」を掲げ、白生パンに続くヒット商品の創出に挑み続ける構えだ。
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