2015年7月27日以前の記事
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ファーストクラスに乗る人は、なぜ「アイコンタクト」を大切にするのか

ファーストクラスにはさまざまな業界のVIPがご搭乗になります。誰もが知る著名人もいれば、そうでない人もいらっしゃいますが、共通していることは、社会的地位と経済力があることです。

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この記事は『なぜあの人は初対面で信頼されるのか』(山本洋子著、日本能率協会マネジメントセンター)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。


エグゼクティブ=スマートとは限らない

 ファーストクラスにはさまざまな業界のVIPがご搭乗になります。誰もが知る著名人もいれば、そうでない人もいらっしゃいますが、共通していることは、社会的地位と経済力があることです。会社の経営者や創業者、大企業の役職につく、いわゆるエグゼクティブと呼ばれる人たちです。

 エグゼクティブというと、仕事ができてスマートな対応をする人と思われがちですが、そんなすてきな人ばかりではありません。自分はお客さまだと言わんばかりの横柄な人や、思わず眉をひそめてしまうような下品な人も少なからずいらっしゃいます。言葉遣いも乱暴で、客室乗務員を召使いのように扱う人も。相手はお客さまですので多少の理不尽な振る舞いは我慢するしかないのですが、度を超えた要求や威圧的な言動は、対応に困ってしまうこともあります。

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提供:ゲッティイメージズ

ファーストクラスに乗る人から見習うべきこと

 一方で、社会的に地位の高い人の多くは、自分が周りからどう見られているか、そしてその見られ方がどんな影響を及ぼすかをよくご存じです。それを理解している人は、おのずと人に対する接し方が変わってきます。

 ファーストクラスに乗る人がいかにも優れていて、振る舞いも人格も完璧であるかのような論調には大いに異論がありますが、社会的な振る舞いを身につけているという点においては、見習うところが多いのは事実です。相手がどう思うかや、周囲に不快な思いをさせないということを超えて、相手を自分のファンにするほどの立ち居振る舞いは、究極のビジネススキルといえるでしょう。

アイコンタクトはなぜ大切なのか

 例えば、アイコンタクトです。話しかけるときはもちろんのこと、要所要所で相手と目を合わせ、会話の最後にはきちんと相手の目を見て会話を終わらせるラストアイコンタクトができていること。これは客室乗務員が必ず指導される接客の基本でもあります。

 会話の最後に相手の目を見るというのは、相手に対して気持ちを残すという意味があり、相手に丁寧に接しているという意識の表れでもあります。必ずしも相手と目が合うとは限らないのですが、相手がどうであれ、最後にアイコンタクトを心掛けることはビジネスマナー的にも優れているのです。

 エグゼクティブの中には、アイコンタクトが自然にできる人がいます。特に、ラストアイコンタクトがさりげなくできる人は、コミュニケーション上級者です。それだけで、相手はきちんと対応してもらっていると感じ、好印象を抱きます。たったそれだけのことなのですが、それが礼節です。

 いかにも「してやった感」を出さず、あくまでもさりげなく相手の存在を認め、尊重する。その気持ちがラストアイコンタクトには込められています。

究極の礼節、ラストアイコンタクト

 これはファーストクラスのお客さまに限ったことではありません。どのクラスのお客さまでも、こちらが何かを提供した際に、必ず目を合わせて「ありがとう」とおっしゃるお客さまにはとてもよい印象が残ります。特別な言葉は必要なく、たとえ言葉を発しなくても、最後のアイコンタクトで全てが伝わるのです。礼節は相手への心遣いが形になってあらわれるものだと考えると、アイコンタクト、とりわけラストアイコンタクトは究極の礼節なのかもしれません。

 アイコンタクトは、日頃の生活の中でも簡単に取り入れられる振る舞いです。ちょっとした最後の目線合わせ、意識して習慣にしてみてはいかがですか?

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