カスハラ対策していない、5割以上 「顧客第一の考えが強い」「基準づくりに苦慮」
「電話応対時にカスハラを受けたことがある」と回答した割合は7割以上に達した一方、カスハラ対策の実施率は47.0%だった。
2024年4月1日、東京都が「カスタマーハラスメント防止条例」を施行した。企業でのカスハラ対策はどのくらい進んでいるのだろうか。
コールセンターのシステムなどを提供するリンク(東京都港区)は、顧客と電話でやりとりをする男女400人を対象に「電話業務におけるカスタマー・ハラスメント対策に関する調査」を実施した。
「電話応対時にカスハラを受けたことがある」と回答した割合は7割以上に達した。業界別では「福祉関連業」(100%)が最も多く、「建設業」(88.9%)、「官公庁・公共・団体」(83.9%)が続いた。
カスハラの内容としては、「暴言・罵声を浴びせられた」(88.4%)、「延々と同じ内容のクレームを繰り返された」(75.4%)、「長時間拘束された」(68.1%)などが挙げられた。
一方、現場でのカスハラ対策の実施率は47.0%だった。業界別では「建設業」(55.6%)や「金融業」(53.8%)、「IT・通信業」(50.9%)での実施率が高かったが、いずれも5割程度だった。
企業の具体的なカスハラ対策は「カスハラの発生状況と内容の把握、社内への共有」(76.6%)、「対応マニュアルの作成・配布」(47.9%)などだった。
カスハラ対策の課題としては「顧客第一という考えが強く、カスハラを問題にしにくい」(26.3%)が最も多く、「カスハラの基準づくりに苦慮している」(17.3%)、「他の業務が優先で後回しになっている」(16.3%)という回答もあった。
本調査は4月30〜5月7日、全国の20〜99歳の男女400人を対象に、インターネットで実施した。
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