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問題は「億ションの増殖」だけではない これから不動産業界に起こる「地殻変動」とは(1/6 ページ)

都心部で増殖する億ションを中心に、値上がりを続ける不動産。しかしこれから10年にかけて、さらなる大変化が起こりそうだ。

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著者プロフィール

佐久間俊一(さくま しゅんいち)

レノン株式会社 代表取締役 CEO

グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティング、ベイン・アンド・カンパニーなどで小売業・消費財メーカーを担当。2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。


 2022年の財務省データによると、不動産市場の規模は46兆2682億円で全産業の2.9%を占める重要な産業の一つです。都市部を中心としたマンション価格の高騰、空き家問題、労働力不足などさまざまな課題を抱える中、今後どのような変化が起きていくのか、市場データをもとに整理します(今回は市場編。次回は営業編)。


不動産市場の変化を整理していく(出所:ゲッティイメージズ)

 まず、不動産価格と給与額の推移について次のグラフをご覧ください。

 不動産価格の上昇に対して給与の上昇率が追い付いておらず、今後、住宅購入を検討する人の多くが、従来よりも予算を抑えざるを得ない状況になると予想されます。地域別に見ると、東京は2010年と比較して約1.7倍、全国平均は約1.4倍。当時と比較して下がっているエリアはありません。

 次は戸建てとマンションに分けて見ていきましょう。戸建てはマンションほど上昇しておらず、全国平均は2010年対比116%です。2023年からこの2年間は各エリアとも減少傾向にあり、特に北海道の下がり幅が顕著でした。タワーマンションの建設ラッシュや建設工事費の高騰が影響していることがうかがえます。一方で北海道のマンション価格は約3倍となり、全国平均の2.1倍を大きく上回ります(2010年対比)。

 工事原価を2015年と比較すると、集合住宅・住宅ともに約1.4倍に高騰。販売価格に転嫁するか、利益を下げて売るかを迫られている状況が続いています。

 これらが単価に影響する因子だとすれば、客数はどうかというと、こちらも厳しい状況です。

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