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問題は「億ションの増殖」だけではない これから不動産業界に起こる「地殻変動」とは(2/6 ページ)

都心部で増殖する億ションを中心に、値上がりを続ける不動産。しかしこれから10年にかけて、さらなる大変化が起こりそうだ。

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空き家が増えているのに、新規の建設工事も進んでいる

 国内の「市区町村間移動者数」は減少傾向にあり、2019年の540万人をピークに、2024年には3.5%減。2014年と同水準まで縮小しました。

 プラス要素としては海外からの移住者が増加していることでしょうか。年間74万人にのぼり、これを国内移動者に加えると14%ほど押し上げるインパクトがあります。とはいえ海外への転出者も増加しており、海外転出と転入を差し引くと37万人が純増している計算です。

 今後は人口が減少していきます。世帯数は2050年までに467万世帯の減少が見込まれ、核家族世帯に対して増えるのが単独世帯です。単独世帯や海外転入者向けの不動産商品は、今後やや有利になっていくでしょう。

 ここで現在の住宅ストック数を確認してみましょう。次のグラフにある通り、現状は約6505万戸に対して総世帯数は5622万戸。約900万戸が空き家です。既に供給余剰であるのが日本の不動産市場の特徴であり、空き家問題は社会問題となっています。

 こうした供給過剰の市場下においても、新設住宅着工は行われていきます。これはまるで、既に店舗が人口に対して飽和しているのに、さらに出店を繰り返して競争がさらに激化していく小売市場と似ているものがあります。

 不動産価格は上昇している、賃金はその上昇に追いついていない、既に住宅は余剰である――にもかかわらず、賃貸と分譲住宅の新設着工戸数は増え続けているのです。

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