2015年7月27日以前の記事
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問題は「億ションの増殖」だけではない これから不動産業界に起こる「地殻変動」とは(3/6 ページ)

都心部で増殖する億ションを中心に、値上がりを続ける不動産。しかしこれから10年にかけて、さらなる大変化が起こりそうだ。

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都内で買うなら中古マンションしかない

 不動産企業からすれば、家を新しく作らなくては大きな売上拡大にはならないため、仕方ないことでもあります。しかし、果たしてこのように不動産価格が高騰している状況下で、多くの人は円滑に不動産を購入できるのでしょうか。

 年収に対して6〜7倍が住宅ローンを組める一つの目安といわれている中、世代別の平均世帯年収と、住宅ローンを整理しました。

 首都圏の新規登録平均価格は新築戸建ての4759万円をはじめ、中古戸建、中古マンションも4000万円を超えています。住宅ローン目安がその金額に追いついているのは40代辺りから。つまり、20〜30代で家を購入しようと思った場合、低価格な物件を探す=エリアや居住面積を希望より下げるしかなくなるのです。不動産会社側の目線で言えば、低価格競争がさらに激化し、原価の高騰も相まって、利益をさらに圧迫しかねない状況です。

 さらに次のグラフは、現在賃貸物件に住んでいる人が住宅の購入を考えた場合、新築マンション、中古マンション、新築戸建てを選ぶと「月額家賃よりも安くなるのか、高くなるのか」を整理したものです。

 結果は一目瞭然です。中古マンションは賃貸負担額よりも安くなるが、新築マンション、戸建ては明らかに負担額が高くなります。これは住宅ローンを購入価格全てに充当し、かつ同じ区内で引っ越したい場合を想定しているので、個々の初期資金によって変動する点は注意ですが、実際問題「都内で買うなら中古マンションしかない」、どうしても新築が良い場合は「エリアか価格を下げた物件を検討する」ことを迫られるのが現状です。

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