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問題は「億ションの増殖」だけではない これから不動産業界に起こる「地殻変動」とは(4/6 ページ)

都心部で増殖する億ションを中心に、値上がりを続ける不動産。しかしこれから10年にかけて、さらなる大変化が起こりそうだ。

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これから起こる「団塊世代」の大相続

 さらに、今後10年で大きな変化をもたらすのが団塊世代の相続です。団塊世代の持ち家を団塊ジュニア世代に相続した場合に起きる事象を整理したのが次の図です。

 団塊世代(1947〜1949年生まれ)は約806万人(※出生ベース)。この団塊世代が42〜48歳を迎えた1995年、住宅ローンの平均年齢はマンション購入融資が36.9歳、マイホーム新築融資が41.4歳(フラット35調査より)でした。団塊世代の持ち家率である86.2%から推計すると約695万世帯が住宅ローンを組んでいることになります。

 2023年の厚生労働省のデータによる男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.14歳であり中央値は84.12歳。つまり、40歳前後で住宅ローンを組み、35年後完済している住宅が相当数存在しており、2030〜2040年にこの世代が寿命を迎えると大相続時代が到来することになります。当時のローン額はマイホーム新築融資の2612万円から建売住宅購入融資の3899万円まで幅がありますが、この金額が現在では高騰しているのは周知の通りです。

 不動産価格指数(住宅総合)は2010年を100%とした場合、2025年1月時点で141.3%で、マンションにいたっては210.7%と驚異的数値となっています。つまり、団塊世代は3700万円〜5500万円ほどの資産を保有していることになり、相続するには多額な相続税がかかります。とはいえ団塊世代の子ども世代である、50代かつ2人以上世帯の平均預貯金は約1253万円です。親が数億単位の資産を持っていない限り、相続税が払える範囲の人が多いことになります。

 では相続した後には何が起きるのでしょうか。

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