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問題は「億ションの増殖」だけではない これから不動産業界に起こる「地殻変動」とは(5/6 ページ)
都心部で増殖する億ションを中心に、値上がりを続ける不動産。しかしこれから10年にかけて、さらなる大変化が起こりそうだ。
何が起こる?
既に家を持っている人が親から家を相続しても、そこに引っ越すことは考えづらいので、中古物件として売りに出すか賃貸に出す人が増えるでしょう。その際、多くがリノベーションを実施すると想定できます。リノベーション業者には多くの仕事が発生するかもしれません。
持ち家を持たない人の中には、親から相続した家に住むことで賃貸生活を卒業するケースも一定数出てくるでしょう。そうなると賃貸市場の空き物件が増加します。賃貸で住んでいた人は減り、物件供給は増え、せっかくリノベーションしても、いつまでたっても借り手がつかないといった事態が発生します。
しかも築年数が古いことから、築浅の中古マンションのほうが先に売れやすく、親から相続した物件は売れ残る可能性が高まります。その結果、賃貸や築年数の長い中古マンションは供給過多となり、さらなる価格下落が避けられなくなる可能性があります。高価格帯のマンションや都市部の土地を保有している人なら、高値で売却して次の物件を買うサイクルも可能かもしれませんが、安い中古マンションを一度購入すると、次に生活拠点を変えたいときに安価で売却し地方へ転居という選択肢を迫られるでしょう。
こうした市場変化を見据え、不動産会社は次のようなポイントを押さえる必要があります。
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