ファミマ「店長が学びたくなる」動画学習システム導入 飽きさせない工夫とは?
ファミリーマートは4月下旬から、「加盟店オンライン学習システム」を導入した。加盟者がいつでも、何度でも、学びたい知識を選んで学習できるシステムだ。これまで、店長研修としてリアルに集合するか、各店舗ごとに営業指導員が説明に回り時間をかけていたものがオンラインで完結する。
ファミリーマートは4月下旬から、「加盟店オンライン学習システム」を導入した。加盟者がいつでも、何度でも、学びたい知識を選んで学習できるシステムだ。これまで、店長研修としてリアルに集合するか、各店舗ごとに営業指導員(スーパーバイザー、以下SV)が説明に回り時間をかけていたものがオンラインで完結する。
導入の背景を、同社の坂本和茂氏(リクルーティング・開発本部 FC研修部 加盟者研修グループ マネジャー)に聞いた。
「飽きさせない」コンテンツ、どう作る?
これまでの加盟者に対する研修や学習といえば、フランチャイズ加盟の際に受講する店長研修などが主な機会だった。法改正に伴うオペレーションの変更や新システムの導入、コンプライアンス、サステナビリティ、食品衛生管理などへの対応は、SVが適宜行っていた。
「従来の方法では、SVの準備、説明、店長自身の学習などの時間を必要としていた。全体研修も拘束時間が長かったり、ベテランは知っている内容だったりした」(坂本氏)。かといって個人ごとに細かく研修を行うのは手間がかかる上、近年では法改正など世の中の変化のスピードがはやいという事情もあった。こうした課題を解決するために、加盟店オンライン学習システムの構築に着手したという。
加盟店オンライン学習システムには、店舗ごとに配布した専用のタブレットを使用する。各コンテンツはアバターが解説する動画形式となっており、店長業務の合間など短時間で閲覧ができるよう1本3〜5分ほどとした。コンテンツは、労務管理、コンプライアンス、品質衛生管理、人財育成、ファミペイなど約80種類を用意し、今後追加していく方針だ。
コンテンツ制作は、まず各部署から学習してほしい内容をまとめたパワーポイントの作成を依頼。集まったパワーポイントを、坂本氏らFC研修部のメンバーによるチェックののち動画化した。「情報の正確さはもちろん、難しかったのは『伝え方』だ。短時間とはいえ『飽きさせない』ことが大切で、これまでの紙ベースの資料と動画ベースの違いを実感した」と坂本氏は振り返る。
各店舗の学習はどのように管理するのか。坂本氏は「あくまで自発的な学習のため」としつつも、コンテンツの内容によっては受講後に確認テストを実施し、100点を取れるまでテストを繰り返す仕組みとした。コンテンツも「必須」など重要度を明記し、学習の順番を組み立てやすいようにしている。各店舗の学習の進捗はSVが管理し、進みが遅い店舗にはSVがフォローする。
坂本氏によると、加盟店オンライン学習システム導入により、研修や学習にかかる時間は最大50%削減できる見込みだ。現在は1000店舗に先行導入中で、9月から対象店舗を順次拡大する。今後はコミュニケーション力やマネジメント力など、管理職に必要なスキルを学べるコンテンツも増やしたいと考えているそうだ。
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