あなたの職場にもいるでしょ? 「反対のための反対」を繰り返す“現状維持おじさん”:スピン経済の歩き方(4/5 ページ)
小泉農水大臣が進める取り組みに対し、つぶしにかかる人たちが一定数いる。日本の組織によく見られる光景だが、こうした「現状維持おじさん」への対処法とは。
「現状維持志向」が強い日本人労働者
「いや、オレはいいと思うけれど、部長がこういうのすごく嫌いだから現実問題として難しいんじゃないかな」
「これちゃんと役員に話通してる? そういう段取りを重視しないで進めるのは専務すごく怒るよ」
「そんなのたまたまでしょ」と思うかもしれないが、そんなことはない。「権威を持ち出して改革をつぶす」という行動は、日本人労働者の「気質」が生み出す、極めて基本的な組織病理である。
オランダに本社を置く大手人材サービス企業のランスタッドが2022年、世界34カ国3万5000人を対象に労働者意識を調べたところ、実は日本人ほど「現状維持志向」が強い労働者はいないことが分かった。
世界の労働者のうち、40%が強い成長意欲を持っているのに対し、日本の労働者で現在の雇用先でのキャリアアップを望んでいる人は29%しかいなかった。この数字は、調査対象となった34の国と地域の中で最も低かったという。その他の調査結果も踏まえて、日本人労働者のこんな傾向を指摘している。
「日本は社会貢献よりも収入を重視する点がありながらも、雇用先でのキャリアアップは望まれておらず、現状の生活を維持するために働く労働者が多い」(ランスタッド プレスリリース 2022年5月26日)
日本には世のため人のため、出世のためでもなく、「今の生活をキープするため」に働いている人が圧倒的に多いということだ。では、こうした現状維持志向が極めて強い人々が、組織の中でベテランや管理職といった立場になったら、どのような人物になるかを想像していただきたい。
「今の生活をキープする」ためには、そのための収入や役職を約束してくれる「今の組織」もキープしなくてはいけない。組織改革などされたら、これまでの収入や役職が脅かされてしまうからだ。
ここまで読めばお分かりいただけるだろう。これこそが「現状維持おじさん」の根本的な行動原理である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
隣の同僚が億万長者に? 知られざる「いつの間にか富裕層」の実態
かつて「一生分の大金」とされた1億円。だが今では、一般の会社員でも資産1億円を超える「いつの間にか富裕層」になるケースが増えている。野村総合研究所の調査から見えてきた、“元庶民”たちの新たな富の姿とは――。
女性にドン引きされる「パーカーおじさん会社員」が増えた、ちょっと意外な背景
「職場のパーカーおじさん」はセーフかアウトか――。そんな議論が話題になっているが、なぜパーカーを着ている会社員が増えたのだろうか。その理由は……。
7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。
「適正に評価されているなあ」 30代の転職者がそのように感じる企業ランキング
転職した人は、転職先のことをどのように感じているのだろうか。オープンワークが「人事評価の適正感」が高い企業ランキングを作成。上位に並ぶ企業の特徴は……。
