留学費用が高騰する中で見つけた、外貨で月20万円稼ぐ“日本語輸出”の働き方(4/5 ページ)
長引く円安は、欧米への留学を目指す大学生にとっても、大きな壁となっている。そんな中、学業と両立しながら外貨を稼ぎ、自力で留学中の生活費をまかなおうとする学生も……。
LinkedInで見つけた新しい働き方。日本語教師でもAI相手でも問われた“日本文化力”
Preplyでの経験を通じて、「自分でも外貨を稼げる」と自信を持つようになった伊藤さんは、新たな仕事の可能性を模索する中で、大学のキャリア教育をきっかけにビジネス特化型SNS「LinkedIn(リンクトイン)」と出会った。
LinkedInは、世界で11億人以上が利用するプラットフォームで、情報発信やネットワーキングはもちろん、国境を越えて副業を含むさまざまな求人を探すことができる。伊藤さんはこのLinkedInを通じて、AIに日本語を教える「AIトレーナー」の仕事を見つけた。
この仕事では、AIが出力した日本語の文章をチェックし、より自然で正確な表現に修正したり、文化的なニュアンスを加えたりする。伊藤さんは、留学を控えている身として学業をおろそかにしないよう配慮しつつ、群馬の自宅から東京の大学までの往復6時間という通学時間を活用して業務に取り組んだ。
その結果、日本語教師とAIトレーナーという二本柱で安定して案件を受けられるようになり、最高時給は40ドル(約6000円)、月収は20万円に迫る成果を上げた。
そうした仕事を通じて、伊藤さんが改めて実感したのは、「本当に求められているのは、英語力以上に“日本文化への理解”である」ということだ。
「日本語教師もAIトレーナーも、日本文化を深く理解していることが大切です。日本語教師に関しては、日本語を教えてほしいというより、日本人と交流したい、リアルな日本文化を知りたいという人が多いです。AIトレーナーでも、日本の価値観や習慣を理解していないと、自然なフィードバックはできないと感じます」
文化や価値観に根ざした知識こそが、意外な強みになり、差別化につながることも多いという。「そうした“日本人として当たり前に知っていること”が、意外と役に立つんです。それによって、外国の人たちとさまざまな仕事をする中で、自分のキャリアに対する視野も広がっていくのを感じました」(伊藤さん)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
時給5000円、日本で外貨を稼ぐ 円安を逆手に取る“越境リモートワーク”のリアル
日本にいながらドルなどの外貨を稼ぐ働き方が広がっている。外貨獲得に必要なのは「英語力」ではなく、多くの日本人が持っているあるスキルだった。それは……。
時給7000円、日本にいながら外貨を稼ぐ 円安時代の“海外オンライン秘書”という選択
長引く円安で、日本にいながらドルなどの外貨を稼ぐ働き方が広がっている。中には海外オンライン秘書として、最高時給7000円で活躍する人も……。
“推し”を訪ねて三千里 会社を辞めたその先は? タイで見つけた新しい働き方
“推し”中心の生活にするため、会社員という安定を手放しフリーランスになり、2023年7月からバンコクで新たな生活をスタートさせた古田さん。初めての独立や仕事探しへの不安を払拭できたのも、まぎれもなく“推し”のおかげだった。
なぜ、この料理を万博で? 各国の“食”に見るブランディング戦略
万博で提供される各国グルメ。その背景にあるブランディング戦略に目を向けてみると、違ったものが見えてくる……。
