国分太一さん降板で“語らぬ会見” 日テレの判断は「正解」か「裏目」か:スピン経済の歩き方(6/7 ページ)
TOKIOの国分太一さんに関して、日本テレビの福田博之社長が行った緊急の「説明ゼロ会見」が話題になっている。この対応は危機管理的にアリだったのか。それとも……。
報道機関として取材をしなかった
忘れている人も多いだろうが、日本のテレビ局は世界的にも注目を集めたジャニー喜多川氏の性加害問題の「もみ消し」に加担した「共犯者」という評価を受けている。視聴率を稼ぐ人気アイドルたちを多く擁する大手芸能事務所に逆らえないテレビ局が、ジャニー喜多川氏の「重大なコンプライアンス違反」を耳にしても聞き流し、報道機関として取材に動くこともなかった。
こういう「隠ぺい体質」がいまだに続いていたことが明らかになったのが、フジテレビ問題だ。視聴率を稼げるスター・中居正広さんによる性加害を経営陣だけでどうにか闇に葬ろうとしていた。やっていることはジャニー喜多川氏の「醜聞」をスルーしていたこととそれほど変わらない。
そういう流れで、今回の国分さんの「重大なコンプライアンス違反」が起きた。TOKIOでは元メンバーの山口達也さんが性加害で問題になったことがある。
なぜ旧ジャニーズ事務所で少年時代を過ごしてスターになった人々に、このような問題が起きるのか。このようなトラブルの舞台になっている、テレビ制作現場に何か問題があるのではないか。
プライバシーに配慮しながらも、こういう社会的な問題にメスを入れて国民に伝えることが「報道」の責務ではないのか。少なくとも、国民から厳しい目で見られるテレビ業界の構造的な問題なので「プライバシーのため答えられません」でやり過ごす話ではないのだ。
では、福田社長はどう答えるべきだったか。あの会見でいきなり事案の詳細まで明かすのはやはりハードルが高い。そこでまずは「日本テレビとして勝手に公表できるものではないので、TOKIOと国分さん側に事案の説明を強く求めていく」ことを強調する。
そこで国分さん側が「説明拒否」をした場合、検証番組を制作する。「そんなことができるわけがない」と失笑する人も多いだろうが、英国国営放送BBCは自局の番組で起きた性加害問題について、きちんと自分たちで番組を制作している。
一般企業ならばここまでやる必要はないが、仮にも「報道機関」を名乗っているのだ。それくらいやらないと日本のテレビの「信用」は上がらないだろう。
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