ドンキ「152円ビール」じわり人気 “地味過ぎる”見た目になった深いワケ:週末に「へえ」な話(1/4 ページ)
ドンキのPBビール「ド」シリーズがじわじわ売れている。モノクロのシンプルなデザインと1本152円の低価格で、若年層やライトユーザーを中心に支持を広げているようだ。
スーパーやコンビニで販売されている缶ビールは、とにかく「派手」である。色は金、銀、黒、白、赤、緑……。かわいい動物が描かれていたり、特徴的なロゴが使われていたり、よく分からないキャラが踊っていたり。
それもそのはず。ビールの味にこだわりがなく、「どこのメーカーのモノでもいいよ」といった人にとっては、なんとなくデザインで決めることもあるからだ。とにかく目立つ商品がズラリと並んでいる中で、ちょっと気になるビールが登場した。
パッケージの色はモノクロ。真ん中あたりに「本格ラガービール」と書かれていて、その上に大きく「ド」という文字がある。これだけの情報で「ははーん。どこのビールか分かったぞ。ドンキでしょ」と思った人もいるかもしれないが、その通りである。ドン・キホーテの店内を歩いていると、商品に大きく「ド」と書かれたモノが目立つ。いわゆるPB商品(情熱価格)で、ビールもその一つである。
2025年6月、ドンキはPBビールを発売したわけだが、個人的に気になったのは「なぜこのタイミングなのか」という点だ。ご存じの通り、ドンキの店内には大手メーカーのビールがたくさん並んでいる。キリン、アサヒ、サントリー、サッポロなど。
しかも、若者のビール離れなどもあって、ビール市場はかつてほどの活気はない。そんな状況の中で、あえて自社開発に踏み切れば、店内で“摩擦”が起きてしまう。メーカーの担当者から「なんだよお。ウチのライバル商品を出しやがって」といった声が聞こえてきそうだが、ドンキはずいぶん前からこの市場に魅力を感じていたようである。
例えば、イオンにもPBビールがある。サッポロと組んで「プレミアム生ビール」などを販売しているわけだが、ドンキも同じようなことができないか模索していた。某ビールメーカーと話を進めていたものの、どうしても前に進まなかった。その理由は「価格」である。メーカーと組めば品質は担保できるが、ドンキが求める価格帯とはどうしても折り合いがつかなかったのだ。
取材を進めていくと、ドンキの狙いは「大手メーカーと戦うことではない」ことが分かってきた。開発担当の井上遼太さんは「メーカーのビールと並んで売られていても、価格もコンセプトも違う。目的は『新たな市場』を切り開くこと」と語る。安価で手に取りやすく、それでいて満足感のあるビールを提供することで、離れていた層を呼び戻し、市場全体を活性化させたいという狙いがあったのだ。
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