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「牛丼500円時代」の幕開け なぜ吉野家は減速し、すき家が独走したのか差を広げた“判断”の差(1/7 ページ)

牛丼の価格戦争――。この言葉を目にすると「懐かしいなあ」と感じる人も多いかもしれないが、いまや「500円時代」の足音が聞こえてきた、といったところでしょうか。牛丼チェーン3社の業績を見ると、明暗がわかれているようで。

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著者プロフィール:

カタリスト投資顧問株式会社 取締役共同社長/ポートフォリオ・マネージャー

草刈 貴弘

 大学卒業後、舞台役者などを経て2007年にSBIリアルマーケティングに入社。2008年にさわかみ投信に転じ、顧客対応部門、バックオフィスの責任者、アナリスト、ファンドマネージャーを経験し、2013年に最高投資責任者、運用調査部長、2015年取締役最高投資責任者に就任。2023年3月に現職のカタリスト投資顧問に入社し、同年6月に取締役共同社長に就任。

 投資先企業の企業価値向上に直接寄与することで、日本企業の成長と資本市場の活性化と、個人投資家の財産づくりを両立することを志向する。ファンダメンタル分析を基にしたバリュー投資を軸に、持続的成長の転換点を探るのをモットーとする。現在、朝日インテック社外取締役。東洋大学理工学部卒。


 牛丼価格がついに500円台に迫っています。かつてはワンコインで楽しめた牛丼は、サラリーマンの強い味方でしたが、それも過去の話となりました。

 こうしたインフレは、最近の米大統領選挙でも大きな争点でした。また、日本でもコメの価格高騰が報じられ、私たちの生活に影響を与えています。

 コメの価格の推移を見ると、日本のスーパーで販売されているコメ5キロの販売価格の平均は3038円(2024年9月)。2015年以降の推移を見ると、直近でかなり高騰していることがうかがえます。材料費の高騰や円安の長期化、人件費や輸送費の上昇が、牛丼の値上げに直結しています。

 牛丼を提供する吉野家、すき家、松屋の3社は、これまで何度も牛丼の価格の値上げや値下げを行ってきましたが、吉野家、すき家、松屋の牛丼価格の推移を振り返ると、吉野家が減速し、すき家が一強となった背景が浮かび上がります。

 今回は2000年に始まった価格競争以降の3社の財務諸表をもとに、各社がどのような戦略で値段の改定を行ってきたのか、いかにしてすき家を擁するゼンショーホールディングス(HD)が一強となったのか見ていきます。

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